評価制度の全体像
サマリー
評価制度は「社員の何を、どのように、誰が、いつ、どのように評価するか」を定める制度です。等級制度で表現された会社の期待事項の遂行状況を把握することで、「目標・期待事項の明確化」「人材活用と育成」「モチベーション向上」に活かす仕組みが評価制度です。
人事制度全体における評価制度の目的と位置づけ
評価制度は「社員の何を、どのように、誰が、いつ、どのように評価するか」を定める制度です。
会社が社員に期待する事項は等級制度に表現されています。代表的な等級基準には「職務等級」「職能等級」「役割等級」などがあります。
※参考記事→人事制度の全体像
それら期待事項の遂行状況を把握することで、「目標・期待事項の明確化」「人材活用と育成」「モチベーション向上」に活かす仕組みが評価制度です。
目標・期待事項の明確化
社員の業績達成度、期待事項の遂行度、仕事への取り組み姿勢を公正かつ適正に評価します。
人材活用と育成
評価の結果を適正処遇(賃金)、適正配置、人材育成に活用します。
モチベーション向上
公正かつ適正な評価の実施と活用により、人事制度運用の公平性と納得性を担保し、社員のモチベーションを高めます。
評価制度の全体像
評価体系
評価体系とは、「社員の何を評価するか」を定めたものです。評価体系は「評価の項目」→「評価の要素」→「評価の着眼点」で構成され、これは大分類→中分類→小分類という関係にあります。
評価項目
「業績」「求める役割(等級基準)」「仕事への情意」といった、会社の戦略や目標達成に必要となる大括りな期待項目です。
評価要素
評価の項目で定めた期待事項をブレイクダウンしたものです。例えば、
・「業績」→「売上高」と「営業利益」
・「求める役割」→「リーダーシップ」「戦略立案」「PDCAサイクル」
・「仕事への情意」→「勤怠状況」「取り組み姿勢」
のように、評価項目をより具体的にしたものが評価要素です。
着眼点
さらに評価要素をブレイクダウンし、具体的な数値や行動まで落とし込んだものが「着眼点」です。例えば
・「リーダーシップ」→「失敗しても責任転嫁をしない」「好き嫌いを排除し客観的な事実に基づき人物像と仕事を捉えている」
・「戦略立案」→「1年後の環境変化を睨んだ計画を立てている」「自ら行動を起こして変革しようとしている」
のように、より数値や行動パターンが具体化したものが着眼点です。
評価ルール
評価ルールは、「社員をどのように評価するか」を定めたものです。
期間・実施時期・評価経路
次の図のように期間・実施時期・評価経路を定めます。
評価スキル
評価は評価者のスキルによってその品質が大きくブレます。そのため評価者の評価スキルアップは人事制度全体の運用において重要な要素です。態度校正・事実限定・期間限定・職務限定・説明責任(フィードバック)の原則に基づき、評価者を訓練する仕組みを設計します。
評価基準
着眼点ごとの点数付け(評点)のルール、評価項目ごとの評価ウェイトを加味し、最終的な個人の評価点数を表す「評語」付けのルールを策定します。
評価の活用
評価結果を何に活かすのかを検討します。評価は単に序列付けや賃金を決定するだけにとどまりません。経営目標を実現するための、目標達成度とその原因究明、知識の共有、適材適所の配置、人材育成などに活用できる評価制度こそ、望ましい評価制度の在り方です。
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