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人事制度:コース制度

コース制度

コース制度

サマリー

  1. コース制度とは、社員を仕事の内容や役割、勤務形態などの違いによって分類することで、きめ細かい評価や処遇を行うための制度です。等級制度と違い、コース制度は必ずしも上下区分ではなく、働き方や職種などで人材群を区分管理する横割りの区分といえます。
  2. コース制度には優秀な人材の確保、人件費の変動費化、多様な働き方への対応などの利点がありますが、要因管理や運用が複雑化したり、同一労働同一賃金への対応が迫られます。

コース制度の目的

 コース制度とは、社員を仕事の内容や役割、勤務形態などの違いによって分類することで、きめ細かい評価や処遇を行うための制度です。分かりやすく言うと「全国転勤を伴う総合職と転勤のない一般職」や、「フルタイムとパートタイム」、「管理職と専門職」などの分類のことです。

 等級制度と違い、コース制度は必ずしも上下区分ではなく、働き方や職種などで人材群を区分管理する横割りの区分といえます。しかし、歴史的にはコースの違いが待遇や昇格・昇進に明確な格差が生まれていました。

 職務の特性や勤務形態が多様である必要がある企業の場合、コース制度を設けることできめ細やかな評価、処遇を施すことが出来ますが、その分制度が複雑になり、運用が難しくなります。一般的には規模の大きな企業で採用されることが多い制度です。

コース区分の事由

 コースは主に次のような事由によって区分されます。

契約の種類、労働契約期間

 雇用契約形態による区分です。一般的にはコース制度とは呼ばないですが、目的や狙いはコース制度と同じですので、ここではコース区分の事由として紹介します。

契約の種類

契約期間

仕事内容(職種の違い)

 事務職、営業職、技術職など、仕事内容による違いによる区分です。

職種の違い

職種異動範囲(キャリア)

 職種間の異動があるかないかによる区分です。主に総合職、一般職、総合職などに分類されます。

 総合職とは、様々な職種を経験させることで将来のマネジメント層を育成するという狙いがあります。ゼネラリストという位置づけになります。

 一般職は、例えば事務職に限定することで ライン活動の補佐を行います。職種間異動は基本的に発生しません。

 専門職とはある特定の分野で専門能力を発揮し、その分野のスペシャリストという位置づけになります。基本的に職種間異動は発生しません。

職種間異動(キャリア)

勤務地の範囲

 勤務地の異動のあるなしによる区分です。海外・全国転勤があるナショナルコース、限定されたエリア内での転勤があるエリアコース(転居が発生しない範囲の異動)、転勤のない勤務地限定コースなどがあります。

勤務地の範囲

所定労働時間

 所定労働時間の違いによる区分です。

所定労働時間

役割(職層)

 経営全体をマネジメントする経営職、社員のマネジメントを行う管理職、それ以外の一般職といった、指揮命令系統に準じた区分です。コース制度は横割り区分ですが、この役割によるコース区分は等級制度における役職階層区分となっています。

役割(職層)

コース制度普及の背景

人件費の変動費化

 景気変動、繁閑差に応じて人件費を変動費化し、収益力を高める狙いです。フルタイムで働く人とそうでない人にとって、適切なコースを用意することできめ細かく処遇を行い、成果の公正な配分を実現することで、フルタイム以外の社員のモチベーション向上と能力発揮を促進します。

優秀な人材確保

 特に働き方改革の後押しもあり、賃金以外の要素、例えば柔軟な勤務時間や転勤無しなどの条件を重視する人が増えています。能力がある人材に対して多様な働き方を提供することで、優秀な人材の定着、採用、離脱防止を防ぐことが重要となっています。

法改正への対応

 男女雇用機会均等法、働き方改革法案への柔軟な対応が必要となっています。

コース制度のメリット

会社にとってのメリット

 コースごとに賃金水準を設定できるため、人件費の削減や人件費の変動費化を図ることが出来ます。また、重要業務の就く人材への賃金水準アップによる、優秀な人材の確保につなげることができます。

 さらに、コースごとに必要な能力開発、キャリア形成をきめ細かく行うことができるため、全社てきな人材の能力とモチベーション向上を図ることができます。

従業員にとってのメリット

 多様な価値観に応じて、希望する働き方に合うコースを選択できるため、就労機会が増大します。また、結婚、育児、介護などのライフイベントに応じて働き方を柔軟に変えることで、ワークライフバランスが向上し、企業に長く勤務できる可能性が高まります。

コース制度のデメリット

会社にとってのデメリット

 コース設計が複雑になると、それに応じて要因管理や運用も複雑化します。また昨今問題になるのは、同一労働同一賃金への対応です。コース制度はコースごとに評価・賃金制度の設計ができますが、同一労働同一賃金の場合、コースは違えど同じ仕事をしている2人の従業員がいた場合、賃金水準は合わせなければなりません。例えばフルタイムで働く営業職Aさんと、パートタイムで働く営業職Bさんが同じ場所で同じ仕事をしていた場合、コースの違いによる賃金格差を設けることが禁止されます。この対応により、総額人件費が増大する可能性があります。

従業員にとってのデメリット

 制度によりコース転換が認められていない場合や、コース転換条件のハードルが高い場合など、コース転換が難しくなる可能性があります。

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