サービス・マーケティングの7Pにおける「Physical evidence=(物的証拠)」とは
サービス・マーケティングの具体的施策を考える際のオーソドックスなフレームワークが「マーケティングミックスの7P」です。モノのマーケティングミックスである4P(商品・価格・プロモーション・流通)のほかに、「構成員や参加者・物的証拠・業務プロセス」という要素が加わります。下図がその体系となります。
この記事では、サービス・マーケティングの1つである“Physical evidence=(物的証拠)”についてについて詳しく解説致します。
※マーケティングミックス全体についてはこちらの記事をご参照ください→マーケティングミックス~具体的施策の組み合わせを考える~
Physical evidence=(物的証拠)の役割
Physical evidence=(物的証拠)とは、サービスの特徴や、サービスから顧客が得られる便益が見える化、イメージ化されているものを指します。
サービスの特性の1つに「無形性」があります。
サービスは無形であるがゆえに事前評価が難しく、事前期待を高めるために工夫が必要です。事前期待が高まらなければ来店してくれることはありません。また、無形であるがゆえにサービスを受ける消費者は安心安全、何かしらの保障を求めます。さらに、どんなに素晴らしいサービスを提供していたとしても、それに相応しい場所や提供者のプレゼンスがなければ、知覚品質が減退する恐れがあります。
物的証拠は、無形であるサービスを見える化・イメージ化し、事前期待と安心感を醸成し、そしてサービスの知覚品質を高める効果を担います。
Physical evidence=(物的証拠)4つの要素
物的証拠には主に4つの要素があります。
空間 | ・店舗内外装、メニュー、証明、調度品、いすやテーブルなどの備品、食器、BGM、香り、食感、音、彩、触感 |
プレゼンス | ・立振る舞い、制服 |
書類・表示 | ・トレーサビリティ表示、契約書、ホワイトペーパー、保証、成分表示、推薦状 |
空間
サービス提供スペースにあるモノ、音、香り、触感、食感など、ヒトの五感全てに対して働きかけることを意識します。もちろん、ターゲット顧客やサービスの特徴とそれがマッチしていることが大切です。
例えば美容室であれば、店舗の外観デザイン、店内内装、座席のデザインや座り心地、照明、BGM、ポスター、観賞植物などです。また飲食店であれば、注文前に香りや彩り、調理音を提供することでシズル感を出して、オーダーや入店を促すことができます。
プレゼンス
立振る舞いや制服など、サービス提供者のプレゼンスを指します。これもヒトの五感全てに対して働きかけることを意識します。書類を出すしぐさや商談時の姿勢、着用するスーツ、香水など、ターゲット顧客にマッチしていることが必要です。
書類・表示
トレーサビリティ表示、契約書、ホワイトペーパー、保証、成分表示、推薦状などを差し、主に安心感を醸成します。食品の場合、自分が口にするものがどこで作られどのような流通経路をたどってきたかが分かるトレーサビリティ表示や、成分が分かる表示は安心感に大きく寄与します。また整体やエステなどの場合、効果を保証したり権威からの推薦状などが安心感を醸成するでしょう。士業であれば分かりやすい契約書や報告書がクライアントとの安心感や信頼感に繋がります。
まとめ
物的証拠は、無形であるサービスを見える化・イメージ化し、事前期待と安心感を醸成し、そしてサービスの知覚品質を高める効果を担います。そのための要素は「空間」「プレゼンス」「書類・表示」などがあり、ヒトの五感に働きかけることと安心感を醸成することを意識して、ターゲット顧客やサービスの特徴とマッチした取り組みを考えることが大切です。
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