商圏規模と、自社の市場シェアを測定する方法
商圏分析の重要性
小売業やサービス業などのエリア型ビジネスにおいて、商圏分析は欠かせません。立地は非常に大きな環境要因であり、自社が誰をターゲット顧客とし、どんな戦略を打ち出すかを判断する際に、商圏の現状を知ることは大変有効です。また、新規出店や創業をする際、どの地域に店舗を構えるかを判断する重要な情報となります。
当記事では、「商圏の市場規模の測定」「自社の商圏内市場シェアの測定」方法について、一例を解説致します。
商圏の市場規模の測定
必要な情報
商圏の市場規模を測定するには、次の情報が必要となります。
・自社の取扱い商品の支出金額(総務省の家計調査データ等から引用) ・1世帯当たりの平均構成人数(厚労省データ) |
測定方法
上記のデータが揃ったら、以下の手順で市場規模を測定します。
①1人当たりの品目に対する年間支出額を計算
1人当たりの品目に対する年間支出額=1世帯当たりの品目に支出する金額÷1世帯当たりの平均構成人数 |
②市場規模を計算
商圏の市場規模(円)=1人当たりの品目に対する年間支出額×商圏内居住人口 |
③事例
ある地域の食品スーパーの事例をご紹介します。
・一世帯当たりの食料品(外食を除く)に支出する金額=617,076円(年間)(総務省家計調査より算出)
・一世帯当たりの平均構成人数=2.43人(厚労省データより)
・一人当たりの食料品に支出する金額:617,076円÷2.43人≒253,940円
・商圏内居住人口=54,531人(jSTAT MAPより)
・市場規模:253,940円×54,531人≒138.4億円
商圏内における自社の市場シェアの測定
以下の方法で計算します。
自社の市場シェア(%)=自社の年間売上高(円)÷商圏の市場規模(円) |
●事例
・自社の売上金額:POSデータの売上より約2.5億円
・自社の市場シェア:2.5億円÷138.4億円≒1.8%
市場規模と市場シェアの解釈
さてこのように自社の市場シェアが算出できたあと、どのような解釈をし仮説を立てるかが大切です。市場シェア1.8%が多いのか少ないのかは、経営者が望む商売の規模感やターゲット顧客層の数により解釈が変わります。
上記分析ではエリアに住む全人口を算出根拠にしていますが、これを性別別、年齢別などターゲットをより絞り込んだ場合は、市場規模も市場シェアも変わります。
また同じ商圏内に競合店が何店舗あり、規模はどれくらいかという情報も必要となります。
もし自社のシェアが少なすぎるということであれば「どの競合からどれくらいシェアを奪取するか」を考えていくことになります。その際は、競合店の商圏を分析することも有効です。
例えば「自社を中心とした商圏の半分は中高年齢者が多いが、競合を中心とした商圏には子供の数が多い」という事実が分かれば、子供向けのサービスを開発したり、子供と中高年が同時に楽しめる(家族が楽しめる)品揃えを考えるなど、新たな方策を打ち出すことに繋がります。
エリア型ビジネスをする場合、商圏の特長を正しく把握して品揃えや商品開発に活かすことはとても重要です。ぜひ参考にして頂ければと思います。
参考記事:ポスティングの実施方法
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