ABC分析と活用方法
ABC分析とは
ABC分析とは、いくつかの起きた事象について現れる頻度によって分類し、管理効率を高める分析手法です。
「80:20の法則」という言葉をお聞きになったことがある方も多いと思います。物事は平均的ではなく偏りがあり、一部の事象や現象が全体に大きな影響を及ぼしているとする考え方です。例えば、
・売上や利益の8割を2割の商品群が生み出している。
・納期遅延原因の8割を2割の生産工程が発生させている。
・売上の8割を2割の社員が出している。
ABC分析は、この考え方をもとに重点管理すべき顧客・商品・在庫・品質・クレームなどをグラフにより見える化します。そしてもっとも全体に影響を与えている事象や事物をAランク、中程度のものをBランク、影響度が低いものをCランクとして分類し、ABCそれぞれの管理方針を定めます。
ABC分析の手順
ABC分析はエクセルを使えば簡単にできます。ここでは商品別売上をのABC分析を紹介します。
下記のような商品別売上データがあります。
次に、各商品の売上構成比を出します。算式は「個々の売上÷総売上」です。
続いて表を売上構成順に並び替え、累計構成比を出します。売上構成順に並び替えるにはフィルター機能を使い降順に並べます。また累計構成比は売上構成比を上から順に合算していきます。最後まで合算すると100%となります。
この表の「商品」「売上」「累計構成比」を全て選択し、複合グラフを作成します。売上高を棒グラフ、累積構成比を折れ線グラフにします。すると下図のようなパレート図ができます。
この表を見ると、上位6品目(NEGOJA)で売上の70%を占めていることが分かります。これらは会社にとって売上を生み出す重要商品群です。戦略的に販売を拡大し、同時に欠品を起こさないよう生産管理や発注管理を強化すべき商品群です。
〈簡単に作図する方法〉
ちなみに、エクセルにはパレート図をワンタッチで出せる機能があります。まず、最初に紹介した商品別売上データを用意します。
次にこの売上データ表を選択し、「挿入タブ」から「おすすめグラフ」を選択すると、下図のようなページが出るので、パレート図をクリック。
すると自動的に作図が完成します。
このやり方だと数秒で作業が完成しますので便利です。
ABC分析のメリット
ABC分析の利点は、経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間・技術)をどこに集中または分散させることが効果的かを判断できることです。ABC分析は数字さえ揃えばどんなものでも分析し、資源投入の優先順位判断に役立てることができます。「Aランク顧客層」「Aランク商品群」が分かれば戦略策定やマーケティングにおいて有益な情報となるでしょう。
・粗利額で分析することで、粗利がマイナスになっている商品群(当然Cランクになる)を明らかにする。
・在庫額、在庫量を分析しランクごとに発注方式や発注先の変更を検討する。Aランクは欠品を確実に防止し、BCランクは在庫量を削減しつつ発注コストを下げ、キャッシュフローを改善する。
・顧客別売上ランクを分析し、訪問先や訪問回数に優先順位をつける。
・商品別売上分析結果を活かし、レイアウトや棚割り、販売促進イベント、DMでのメッセージを工夫する。
・商品別売上分析結果を活かし、Cランク商品の入れ替えを検討する。
・利幅でAランクだが売上ではCランク商品を把握し、重点的なマーケティングを行う。
ABC分析の注意点
ABC分析を行った際、「BCランクは縮小・カット」と短絡的に決めてしまうのは危険です。例えば商品別粗利で粗利が薄い商品であっても、利益には貢献していますから、これを縮小したりカットするということは利益が減少することを意味します。したがって、判断としてはAランクを戦略的商品として重点管理し、BCランクについては在庫量削減や管理コストを低下させる効率化を検討していくこととなります。
また、BCランクに新商品が含まれている場合も注意が必要です。まだ売上高の小さい新商品は、将来的には大きな収益の芽となる可能性があります。
ABC分析は大変使い勝手がよく、また分析自体はとても簡単にできますので、ぜひ活用して頂きたいと思います。
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