MECE
MECEとは
問題解決技法、論理的思考法として重要な位置づけにあるMECEという概念について解説致します。
MECE(ミッシー)とは、「Mutually Exclusive and CollectivelyExhaustive(=相互に排他的で完全な集合体)」の頭文字をとったもので、「モレなくダブリなく」集合の要素を抽出する考え方です。
MECEの効果
ビジネスとは大小さまざまな問題解決の場です。その原因や解決方法は様々ありますが、起きている事象をモレなくダブリなく要素抽出をしないと「原因ジャンプ」や「対策ジャンプ」を起こし、効果的な問題解決にならない可能性が高まります。
ジャンプとは「答えを決めつけてしまうこと」です。人間には思い込みやバイアスがあります。そのため売上不振を「営業活動が足りない、だから訪問件数を増やすべき」と一元的な考え方をしてしまうこともあります。しかし売上は様々な要素の集合で成り立っています。訪問件数も勿論ですが、品揃えやブランディング、価格設定、広告宣伝や販売促進など、訪問件数以外にも要素があり、それらの活動にも問題が潜んでいる可能性は大いにあるのです。
売上不振という現状を「モレなくダブリなく」要素を抽出することで原因を洗い出し、それに対する対策を洗い出すことで、問題解決に至る確率が圧倒的に高まっていきます。
2つのアプローチ方法
事象をMECEに要素分解する方法には、トップダウン方式とボトムアップ方式があります。
トップダウン
トップダウンとは、起きている事象に対してまず要素を全て洗い出し、それから原因や解決策の追求を行っていくという方法です。
頻繁に議論する事象の場合は要素を抽出しやすいですので、このトップダウン型の方法が適しています。
ボトムアップ
ボトムアップとは、起きている事象に対して考えられる様々な原因や対策を洗い出し、それらを上位要素でまとめる方法です。そして上位要素と並列のレベル感にある要素を洗い出し、モレなくダブリなく要素を抽出します。
あまり普段は議論に上がらないものの、何か特定の問題が起こった際や新しい領域の事象については、まず考えられる原因や対策を総洗いで出し、それを上位要素にまとめ、さらに要素に抜けがないかを考えていく方が適しています。しかしそれでも考え得る限りの要素を予め抽出しておく方が良いでしょう。
MECEとフレームワーク
ここまで見てお気づきの方も多いと思いますが、ビジネスで使用されるフレームワークとはMECEに分解するための切り口です。フレームワークを活用することで、MECEな作業を効率的に行うことができます。以下に代表的なフレームワークをご紹介します。
要素フレーム
マーケティング |
4P(製品、価格、プロモーション、チャネル) |
生産管理 |
QCD(品質、コスト、納期) 4M(人、機会、材料、メソッド) |
経営資源 |
ヒト・モノ・カネ・情報 |
経営戦略 |
3C(顧客、自社、競合) SWOT(強み、弱み、機会、脅威) |
外部環境 |
5F(業界内、売り手、買い手、代替品、新規参入) PEST(政治、経済、社会、技術) |
時系列フレーム
計画 | 短期→中期→長期 |
マネジメント | PDCA(計画、実行、検証、改善) |
購買行動 | AISAS(注意→関心→検索→行動→シェア) |
営業 | テレアポ→訪問→商談→見積→受注→アフターフォロー |
業務プロセス | お出迎え→座席へ案内→注文→提供→会計 |
対照フレーム
メリット⇔デメリット |
抽象⇔具体 |
事実⇔意見 |
主観⇔客観 |
熟語フレーム
日本語の4文字熟語などは、フレームワークとして活用でき、実際にビジネスの現場で活かせるものが多くあります。ぜひ探してみてください。
2字熟語 | 長短、優劣、濃淡、高低、強弱、増減、明暗 |
3字熟語 | 松竹梅、大中小、心技体、朝昼晩、上中下 |
4字熟語 | 喜怒哀楽、起承転結、春夏秋冬、上下左右 |
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