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組織のライフサイクル・モデル

組織の成長

 企業は様々な経営資源を獲得することで成長していきます。資源には従業員・設備・資金・ノウハウのような内部資源と、顧客・取引先・外部団体・自治体などの外部資源があります。組織の成長とは、これら経営資源の量・質の拡大を意味します。

 本記事では、組織の成長段階ごとの特長と、生じる問題や対策について、組織のライフサイクルモデルを紹介しながら解説します。

発達段階モデル

 組織には、経営資源の獲得状況に応じた発達段階があります。この発達段階ごとの戦略行動や構造、組織文化、管理システムの変化を説明するモデルに「組織のライフサイクル・モデル(リチャード・L・ダフト:組織の経営学)」があります。

 組織の発展段階は、

  1. 起業者段階
  2. 共同体段階
  3. 公式化段階
  4. 精巧化段階

という4つの段階に分類されます。組織がどの段階にあるかを図る指標には、一般的には従業員数(ヒト資源の量)が基準とされます。

 しかし現実には、業種業態における付加価値率の違い、ビジネスモデルの違い、労働集約/資本集約の違いなどにより、必要要員数は異なります。したがって我が社がどの段階に位置しているかを探るにあたっては、様々な経営資源量を鑑み、実際に企業内部に起きている事象を以下の解説に照らし合わせて、どの段階にありそうかを判断すればよいと考えます。

 では、それぞれの段階における特徴・起きうる問題・対策について解説します。

起業者段階

  1. 特徴
     組織の誕生段階にあたり、獲得している経営資源は極めて少ない状況です。労働者や顧客などの外部環境からの指示を得て、自社の生存領域を見出す段階です。
     この段階では当然ながら従業員数も少なく、必然的に管理活動にはほとんど比重が置かれません。必要なことは事業の創造性や革新性であり、生存に向けた起業者による商品開発や営業活動が重視されます。
  2. 起きうる問題
     組織が成長するにしたがい、創業者の個人的能力だけでは管理できない経営資源量を扱うことになります。やがて、新しく雇用される従業員が増えます。新従業員は、運命共同体的存在である立ち上げ当初からのプロパー社員とちがい、創業者の理念やビジョンのみに動機づけされることは少なくなります。

  3. 対策
     リーダーは外部環境の変遷に対応しながら、リーダーシップおよび経営管理技術を獲得していくことが求められます。

共同体段階

  1. 特徴
     共同体段階は、組織の内部統合を創り出す段階です。起業者段階を経て強力なリーダーシップを得ることに成功すると、組織内部はある目標に向けて一丸となって走り出し、組織の一員であることに誇りを感じ、家族的風土が醸成されます。「会社」というより「リーダー個人」の特性に組織が動機づけられている段階です。
  2. 起きうる問題
     組織の規模がさらに増大し、メンバーの数や階層や役職が増えるにしたがって、リーダー個人の強力なリーダーシップのみでは組織が機能しなくなります。リーダーは強力な使命感のもと、自ら責任を果たそうと権限を集中させます。しかし従業員は職務遂行における十分な権限を持っていないと考え出し、コミットメントが低下し始めます。いわゆる「権限責任論」が問題になるのがこの段階です。
  3. 対策
     権限移譲による分権化により、直接トップ・リーダーが指揮することなく、組織を制御・調整できる機構を構築することが必要となります。

公式化段階

  1. 特徴
     公式化段階では職務定義や評価制度、管理会計制度などの規則・手続きが導入され、官僚化していきます。コミュニケーション手段や伝達経路は形式化され、公式なコミュニケーションが業務の血流を支配します。職務や部門などの分業が進み、各部門は専門能力に特化していきます。
     また階層が明確に分けられ、トップマネジメントは中長期的な戦略的意思決定に、ミドルマネジメントは現在の業務遂行に責任を持つようになります。
     この管理及び調整システムの導入により、組織の安定的成長を図ろうとするのが公式化段階です。
  2. 起きうる問題
     組織が更に大きく複雑化すると、経営戦略を実現するための公式化、手続き、規則、分業、専門化というシステムが「官僚制の逆機能」を引き起こし、組織の硬直化を招き始めます。思考パターンの硬直化目標の置換(規則順守そのものが目標となってしまう現象)、革新の阻害(既得権益への固執)などが発生し、環境変化に対する組織の機動力が失われます。
  3. 対策
     官僚制の逆機能を打破することが必要です。経営理念や全社目標の浸透、細分化され過ぎた業務・部門・職層・等級などのブロードバンディング、職務を横断するプロジェクトチームによる革新的事業への取り組みなどです。

精巧化段階

  1. 特徴
     精巧化段階は、組織の再活性化段階です。公式化組織を経て官僚制の逆機能を打破した組織は、多くの経営資源を有していながら、多数の部門からなる小規模組織としての利点を活かし、環境変化への柔軟な対応を模索し始めます。
  2. 起きうる問題
     外部環境の変化により組織と環境のバランスが崩れはじめ、組織の成長停止や衰退が起こり始めます。
  3. 対策
     豊富な経営資源をもつ大組織でありながら、環境変化に機敏に応じられる機動力と柔軟性を持つ組織を作り上げることが必要となります。
     起業者段階で設定された理念・社会的使命・ビジョンは、もう今現在の外部環境に対応出来ないものとなっているかもしれません。企業は新たな使命やビジョンを再定義し、これに合わせて組織を再活性化することが求められます。そして起業者段階で見られたように、新たな環境に適応するための新たな資源の獲得や、創造と革新を推進し、柔軟で小組織的思考パターンを獲得していくことが求められます。

まとめ

 事業や商品にライフサイクルがあるように、組織にもライフサイクルがあります。組織は戦略にしたがいますので、マクロ環境やミクロ環境の変化に応じてダイナミックに変遷していくものです。外部環境は絶えず変化する以上、組織は決して安定的ではありません。市場、競合との相対的な自社の立ち位置や規模から、自社が組織のライフサイクル・モデルのどこに現在位置しているかを把握し、必要な対策を考えてみましょう。

 

 

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