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生産性向上:4つの方向性

生産性向上4つの方向性

生産性向上4つの方向性

生産性向上の落とし穴

 生産性向上というと、コスト削減や効率化というイメージが大きいのではないでしょうか。しかし生産性は算式が示すように、分子のインプットを増やすか分母のアウトプットを減らすか、大きく2つの方法があることが分かります。

  1. 付加価値向上(分子を高める)
  2. 適切な総労働時間やその他経営資源投入量の維持(分母を維持又は下げる)

 ここで良く起きる問題が、生産性を向上させるために残業や人件費増など、人的資源(インプット)を増やしてアウトプットを増やそうとしてしまうことです。たしかにこれも1つの方法でありますので、可能性として排除する必要はありませんが、多くの場合生産性は向上しないか低下することとなります。

 人という投入資源を1増やしてアウトプットが1増加したのでは、生産性は変わっていないことになります。さらに人件費は最も高い費用な上に、成長やモチベーションという他の経営資源にはない特徴によって仕事の質が大幅に上下します。また、残業代は通常の時給よりも割増されます。このような人的資源を安易に増やそうとすると、生産性は殆ど変わらないか、あるいは下がってしまうケースが多くなります。

 次に起こるのが、生産性を上げるためにインプットを減らそう、つまりコストを削減しよう、という動きです。これも生産性向上の1つの方向性ですし、無駄なコスト削減を行うことは大切な事です。

 しかしコスト削減は基本的にどの企業でも積極的に取り組んでおり、乾いた雑巾をさらに絞るコスト削減には限界があります。またさらにコスト削減意識が強すぎると、一時的に大きなコストを掛けてでもビジネスプロセスの見直しによる大幅なコスト削減、技術革新や積極販売策などのイノベーションなど、企業のありたい姿を目指すにあたって必要な投資判断を見送ってしまう、という弊害があります。

 コスト削減は大切な事ですが、現場で可能なコスト削減策だけでは競争優位を築くことは難しいですし、生産性に与える影響もそれほど大きくありません。

 生産性向上は、算式が示すように分母と分子の乖離が大きいほど高いということになります。そのためには、投入資源を適切に維持削減することと付加価値額を増大させる両方の視点が必要です。

 さらに、生産性向上目標によって、どのような取り組みが有効なのかも違ってきます。

生産性向上4つの方向性

 生産性向上目標によって、有効な施策は違ってきます。例えば生産性を4%向上させるのと40%向上させるのでは、その具体的打ち手にも当然違いが生まれます。

 4%の改善なら、もしかしたら現場でのコストカットや付加価値向上努力で可能かもしれません。しかし付加価値を40%向上させようとしたらどうでしょう。

 例えば、小売店が店舗レイアウトの改善やポップ等の工夫を行いバンドル販売を増やすのと、小売店がECにシフトしネット販売を拡大していくのでは、生産性に大きな違いが生じます(もちろん成功確率は別の話です)。

 このように生産性向上には、その期待効果に応じて「改善」的向上と「改革」的向上という大きな方向性が考えられます。

 以上をまとめると以下の表のようになります。

生産性向上 改善と改革

「改善」による付加価値向上、投入資源削減

 これは現場や現有経営資源の活用で取り組める生産性向上策です。取り組むにあたりコストが少なく、すぐに取り組むことが出来ますが、改善効果としては中程度です。

改善による付加価値向上、投入資源削減

「改善」による付加価値向上

 たとえば、店舗レイアウト変更やPOPの工夫によるバンドル販売の増加は、この改善による付加価値向上にあたります。基本的に大きな投資は必要とせず、現場の工夫で出来る付加価値向上策です。

 他にも、

・職人技を弟子に受け継いで、高品質製品を制作できるようにする。

・積極マニュアルを作り、接客品質のバラツキを低減する。

・プロモーションで既存顧客にSNSメルマガを活用し、顧客生涯価値を高める。

・既存サービスのターゲット顧客を変え、新規顧客を獲得する。

「改善」による投入資源の削減

 日本企業がもっとも得意としてきた生産性向上策が、この改善による投入資源の削減です。トヨタの「7つのムダ」や「5つのナゼ」に代表されるように、乾いた雑巾をさらに絞り込むコスト削減策などがこれにあたります。具体策としては、

・多能工化による労働力削減

・作業手順の変更や無駄な動作、作業の削減

・グループウェアの活用によるコミュニケーションの効率化

・競合他社との共同輸送

などがあります。

「改革」による付加価値向上、投入資源削減

 ビジネスモデルそのものを変革するようなイノベーションを起こし、生産性を大きく増大させる取り組みです。取り組みの困難度が高く、投資が必要な場合も多いですが、これに果敢に挑戦することが、企業の持続的競争優位をもたらす大きな要因になります。

改革 による付加価値向上、投入資源削減

「改革」による付加価値向上

 ビジネスモデル、つまり儲けを生み出す仕組みそのものを変革していくことで、付加価値を大幅に増大させる取り組みです。例えば、

・BtoBからBtoC、DtoCなど、製造業が最終消費者に対して直接販路を拡大する。

・小売店舗内にAIカメラを搭載し、ECサイトのように顧客の購買行動を分析して、リアルタイムで斬新な商品提案や購買利便性を提供することで、買い物体験価値を高める。

・サブスクリプション課金モデルを構築する。

・多数の顧客が集まるプラットフォームを開発する。

・伝統工芸品の製造技術を活かし、時代のニーズを捉えたオーダーメイド製品をECサイトで販売する。

・位置情報を活用した効果的な情報発信と集客

「改革」による投入資源削減

 ICT技術を用いて大きく投入資源を削減する方法です。例えば、

・ERP導入による事務作業の効率化

・RPA導入による事務作業の自動化

・IoT導入による製造現場での自動データ収集やバリューチェーン高度化

・AI技術による自動データ分析

まとめ

 生産性向上は、その生産性向上目標に合わせて改善・改革的な生産性向上策を組み合わせて行っていくことが大切です。

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