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適正要員数の算定

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適正要員数とは

 適正要員数とは、経営計画を達成するために必要な人員数のことを指します。総額人件費は企業が負担する費用の中でも多くの割合を占めています。要員数管理はそのまま企業の業績に直結することが多く、要員数管理がいい加減で適正要員数以上の人員を抱え込むと、売上が伸びていても利益が残らないことになります。

 人材の調達は労働市場の変遷に影響を受けます。また人材は他の経営資源(モノ・カネ)と違い「育成」なくして費用に見合う効果は得られません。勿論即戦力を調達してくるという方法もありますが、設備が常に一定のアウトプットを発揮できるのに対し、ヒトは市場・組織風土・経営方針・人間関係・健康など様々な要因によりパフォーマンスが変化します。

 企業の経営目標を達成するための総額人件費に連動した適正要員数を計画することは、適切な人的資源管理を行うための前提条件となります。

適正要員数の算定方法

 適正要員数を算定する方法には「経営採算方式(マクロ要因計画)」と「業務量積み上げ方式(ミクロ要員計画)」の2種類があり、最終的にはこれらを擦り合わせて適正要員数を決定します。

経営採算方式(マクロ要因計画)

 経営採算方式(マクロ要員計画)とは、経営計画に基づく計画粗利額(計画付加価値額)と適正労働分配率を根拠として、適正要員数を算出する方法です。

 トップダウン的なアプローチであり、経営層がこの方式により適正要員数を算定します。

●適正要員数=許容総額人件費÷1人当たり人件費

●許容総額人件費=付加価値額(粗利額)×目標労働分配率

●労働分配率=総額人件費÷付加価値額(粗利額)

 この方式のポイントは“経営計画”と“目標労働分配率”です。

 経営計画で目標としている目標経常利益を達成するために、目標付加価値額(粗利額)の何%まで人件費として許容できるか(=目標労働分配率)、という視点から要員数を決定します。

※参考記事:許容総額人件費の把握方式

業務量積み上げ方式(ミクロ要員計画)

 各職場ごとの業務量に基づき必要人員数を計算し、それを積み上げて会社全体の計画要員数を算出する方法です。

 ボトムアップ的なアプローチであり、現場の管理職が中心となって現場の業務量に応じた要員数を算出します。

●適正部門要員数=総業務量÷1人当たり標準業務量

経営採算方式と業務量積み上げ方式の擦り合わせ

 トップダウン的アプローチの経営採算方式とボトムアップ的アプローチの業務量積み上げ方式で算定した人員数が整合していれば問題ありませんが、通常そのようなことはまずありません。計画を算定するトップマネジメントと現場では立場や情報量の違いからギャップが生じているため、双方の視点を擦り合わせることで最終的な要員数を決定します。

 気を付けたい点は、現場視点では「人が足りていない」ケースの方が多く、業務量積み上げ方式(ミクロ人員計画)で算定すると人員数が膨れ上がる傾向にあることです。

 しかし目標利益を前提とした経営採算方式(マクロ人員計画)で算定した総額人件費内に抑えられないと、業績の悪化が懸念されます。

 双方の視点のギャップを埋めるためには、まず現場での業務改革・業務改善・高付加価値化・育成などの取組みを通じて、生産性を向上させることが必要です。そのためには業務プロセスの改善計画をセットで策定し、業務プロセスの変革を前提とした総業務量の算定が望まれます。

 会社が利益を残しつつ、社員にとってのインセンティブである「人件費」を創出するには、ヒトを増やさず利益・人件費双方を向上させられる生産性向上がカギであり、そのためには現在の業務プロセスの見直しや商品付加価値の向上がポイントになります。

 適正要員数の計画は、経営層と現場での視点や意識の差を擦り合わせる上でも良い機会となります。適正要員数の算定が業績に直結することはもちろんですが、経営層・現場でのコミュニケーション強化による認識ずれの是正としても効果がありますので、管理職や現場マネジャーも巻き込んで行うことをお勧めします。

※参考記事:生産性向上:4つの方向性

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