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労働生産性向上のメリットと留意点

生産性向上のメリット

生産性向上のメリット

サマリー

  1. 労働生産性を向上させることで、「業績向上」と「従業員満足度向上」を両立することができます。
  2. 生産性向上には様々なメリットがありますが、従業員の残業代が生活給になっている場合は、取り組みに当たって生産性向上の意図を丁寧に従業員に説明することが大切です。 

労働生産性向上のメリット

 労働生産性を向上させることで、「業績向上」と「従業員満足度向上」を両立することができます。

 業績とは勿論、売上高や利益のことです。従業員一人一人の産出する付加価値が増大すれば、売上や利益が増加します。

 従業員満足度は、大きく「組織へのエンゲージメント」「仕事そのもののやりがい」「能力向上」「賃金」「組織風土」などが影響します。

 労働生産性を高めるには、投入要素である労働量を抑えつつ、アウトプットである付加価値を高めることです。生産性向上の大きな方向性は、効率化できる業務を自動化すると同時に、ヒトに創造的で問題解決に繋がる仕事を任せることで、付加価値を高めていくことです。これにより従業員のスキル向上や仕事への有意義感の高まりが期待されます。そして生産性が向上することにより業績が向上し、賃金も上昇します。結果として従業員は金銭的報酬、非金銭的報酬(スキル向上や仕事への有意義感)を手に入れることで従業員満足度が高まり、質の高い人材の定着に繋がります。

労働生産性向上による「業績」と「1人当たり賃金」の関係

生産性向上 利益と従業員満足度向上

 上図は生産性向上による「業績」と「一人当たり賃金」の関係を表した体系図です。

 企業としては利益を上げつつ従業員への報酬も増やし、質の高い人材の定着を図りたいところだと思います。しかし報酬を増やした場合、総額人件費が上昇するため、これが利益を圧縮する要因になる可能性もあります。そのため労働分配率は現行と同等、若しくは可能なら引き下げることで利益を増やしたいところです。

 なお、労働分配率とは付加価値に占める人件費負担度を表します。企業からすれば労働分配率は出来るだけ抑えたいところですが、低すぎる場合従業員のモチベーション低下につながるため、バランスが要求される指標です。

労働分配率の詳しい内容はこちらをご参照ください→労働分配率と一人当たり人件費の関係

 労働生産性を高めた場合、これらの悩みを全て解決することができます。上図をもとに一例を考えてみます。

 例)

・1人当たり人件費(賃金)=385万円

・労働生産性(1人当たりの稼ぎ)=700万円

・労働分配率(稼ぎの人件費への分配率)=55%

・人件費差し引き後の付加価値=315万円

 この時、労働生産性を10%アップさせた場合、賃金と賃金差し引き後の付加価値は次のようになります。労働分配率は変わらないとします。

・1人当たり人件費(賃金)=770万円×55%=423.5万円

・賃金差し引き後の付加価値=770万円-423.5万円=346.5万円

 つまり労働生産性が10%アップすることで、1人当たり人件費(賃金)は385万円から423.5万円へ38.5万円アップ、賃金差し引き後付加価値は315万円から346.5万円へ31.5万円アップすることになり、従業員の賃金上昇、企業の利益増加のどちらも実現できることになります。

 総額人件費と利益はトレードオフの関係になりがちですが、双方がWin-Winの関係を築けるのが生産性向上です。

労働生産性向上の注意点

 労働生産性向上の取り組みにおける注意点をご説明します。

 それは従業員にとって残業代が生活給になっている場合です。働き方改革により残業の規制は厳しくなっていることもあり、企業としても長時間労働を削減するための様々な取り組みを実施しています。しかし、働き方改革への対応で単純に労働時間を削減した場合、残業代を生活給に当て込んでいる従業員は実質給料が下がることになります。これが原因でモチベーションの低下や、より条件の良い他社へ転職するケースも出てきています。

 残業時間を削減しつつ、残業で得ていた残業代と同等以上の賃金を支払い続けるには、やはり労働生産性向上を目指すしかありません。そのためには勤務時間あたりの生産性を向上させていくという基本的な取り組みが必要ですが、それとともに生産性向上の取り組みを評価し、賃金に反映する仕組みの整備が必要となります。

 もちろん、評価制度の整備は生産性向上における大きなテーマでありますが、残業代を生活給としている従業員が多い場合には特に気を付けるテーマです。経営者にその気がなくとも、働き方改革への対応や生産性向上の取り組みを「賃金カットのため」と捉えてしまう従業員もいらっしゃいます。

 生産性向上の取り組みは成果が表れるまで一定の時間を要することもありますので、経営者側が生産性向上の意図を正確に従業員にお伝えし、将来のあるべき姿を共有するというコミュニケーションを図ることも大切なこととなります。

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