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サービス品質問題の真因を追求する

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プロセス管理

 業務の品質を高めるためには、品質を生み出すプロセス管理が重要です。プロセス管理とは製品やサービスの状態を管理するのではなく、作業を管理することを指します。

 例えば「新商品をお客様に理解して頂く」という営業品質の場合、どの製品のどのカタログを用いてどのようなトークを行ったか、という作業によって顧客の新製品理解度という出来栄えが異なります。業務効率やサービス品質がヒトによってバラつく理由は、それを生み出す方法(=プロセス)とそのレベルが異なるからです。

※参考記事:サービス・接客・営業品質を高めるための、品質管理の基礎 

サービス品質問題の真因追及フロー図

 品質やレベルに問題があるサービスを改善していくときに、上図のフローチャートを使ってその原因を追究します。サービス品質の不具合には大きく「管理の問題(橙色)」「意識の問題(灰色)」に大別されます。

管理の問題

 管理の問題とは、方針書、作業標準書、テキストマニュアル、動画マニュアル、チェックの仕組み、コミュニケーションなど、品質の基準や手順などの仕組みの問題を指します。サービス品質を高めるには、まず管理の問題をクリアすることです。

①ルールなし

 戦略上とても大切なサービスであるにも関わらず、サービス提供のルールが定まっていないケースは大変多いです。これは製造の世界でいえば、製品の品質基準や製造手順や使用工具などが決まっていない状態で仕事をするのと同じです。何の決まりもない状態で各人が同じ製品を作ったら、品質も形状も性能もバラバラなものができ、市場に出荷することなどできません。

 しかしサービスの世界では(無形性や消滅性という特性から)このようなことが往々にして起こっています。例えば「取引先への新製品のご案内」という営業活動を例にすると、「責任者は誰か」「誰に案内するか」「どのように案内するか」「どんな資料を見せるか」「何を口頭で伝えるか」「伝える順番はどうするか」「ヒアリング項目は何か」などを決めなければ、営業マン個々人がこれらを勝手に決めることとなり、当然「取引先の新製品の理解」という目標への到達度は大きくバラけます。

 したがって戦略上重要なサービスについては、方針や作業手順書、マニュアル、チェック体制などの仕組みを構築し、その仕組みの中でサービスを提供することが大切です。

②ルールに抜け漏れがある

 社員が確実にルールを守っても品質のバラつきやミスは起こり得ます。その場合は社員本人の責ではなく、ルールに抜け漏れがあると考えます。その場合は責任者がサービス提供現場を視察したり本人から詳細をヒアリングしながら、方針書やマニュアルの改訂に取り組みます。

 また、いかようにも解釈できる表現を見直すことも大切です。例えば「具材をきれいに盛り付ける」というルールの場合、きれいの定義はスタッフ1人1人ことなります。どのような盛り付け方がきれいな盛り付け方なのかを、具体的に定義することで、解釈の違いによる品質のバラツキは防げます。

 ルールの改定は、品質のバラつきやミスの低減だけではなく、品質をより高いものにしていくというポジティブなものでもあります。ルール通りに仕事をこなして成果を出せる社員からは、より良いやり方を考えて提案してもらい、それをもとにルールをブラッシュアップしていくことで、現場の力がより強くなります。

③守れないルールだった

 ルールはあるものの、例えば「取引先へ新製品を案内するための使用パンフ」が欠品しており、持っていくことができなかったというケースです。この場合後方部隊の増刷ルールや在庫チェックルールに問題があり、それらのルールを整備することが必要です。

 また、あるルールを守ると他のルールが守れなくなり、やむを得ずルールを守らなかったケースです。例えば営業担当エリアが広範囲であるにも関わらず移動時間のルールがあるため、遠方に出向けないため目標が達成できないなどです。売上という目標とコストという目標がぶつかってしまうケースです。

④ルールを知らない

 ルールはあるものの、それを現場が知らないというケースです。スタッフへの伝達、指導、訓練、チェックが不足していることが主な原因です。「口頭やメールで指示した」だけではルールが伝わっていないことが多いです。スタッフも現場で数多くの顧客対応と問題に当たっていますので、ルールに関するメールが1本流れてきてもほとんど意識できません。これもスタッフの問題ではなく、仕組みや管理側の姿勢の問題です。

 対応としては①指導訓練を標準化する、②ルールやルール変更をメールや書面や朝礼の場で複数回伝える、③ルール変更の場合は初めに数日重点的にチェックした後、④再度日をおいてから実行状況をチェックする、などです。

意識の問題

 意識の問題とは、実行するスタッフの心理的な問題です。仕事の考え方や取組み姿勢、注意力など、本人のパーソナリティに帰する面です。うっかりミス、自己流への執着、やる気の問題など様々な問題がありますが、これをスタッフのせいにしていては問題を解決できません。スタッフの意識を変容するのは容易ではありませんが、この問題を解決することが管理職の能力向上のポイントです。

⑤ルールを守ったつもり

 スタッフ本人はルールを守っているつもりですが、実際には方針書やマニュアルと違うやり方をしており、サービス品質が安定していないケースです。様々な要因が考えられますが、多いのは方針書やマニュアルが棚の奥にしまわれており、ほとんど見返すことが出来ない環境になっているケースです。

 これは事業計画書などの大きな計画書から作業マニュアルといった現場レベルのものまで共通して言えますが、重要な文書は目に見えてすぐに取り出せる場所にないと、意識が継続しません。ルールを守ったつもりになっている場合、個々に指導をしたりチェックの仕組みを導入することも大切ですが、常にルールに関する文書や動画が閲覧できる環境を整備することが大切です。

⑥ルールを忘れた

 これも根本的にはルールへの理解があいまいになっていることに起因するため「⑤ルールを守ったつもり」と同じく、方針書やマニュアルを見やすく取り出しやすい位置に置いたり、ルール毎の定期チェックの仕組みを導入することで解決します。また「④ルールを知らない」でも触れましたが、1度2度ルールを伝えただけでは伝わり切りませんので、複数回に渡ってスタッフがルールを意識する機会を作ることが必要です。

⑦ルールをいつも守らない

 スタッフはルールを知っているが、その内容を守らないケースです。この原因は「だいたいやり方があっていれば問題ない」「自分のやり方の方が優れている」とスタッフが思い込んでいることです。

 対策としては、ルール毎の定期チェックの仕組みをつくって確認できるようにすることです。そしてルールから逸脱があるたびに指導を行います。

 また「自分のやり方の方が優れている」という考えで、実際にやり方が優れており結果が出ているのであれば、そのやり方をマニュアル等に組み込み、さらなる標準レベルの底上げを図ります。

まとめ

 サービスはモノと違い、ヒトの行為そのものが価値となるため、その品質管理は難しいものがあります。しかし根本的な考え方はモノの品質管理と通ずるところがあります。

 対象がモノではなくヒトであるため、サービス品質管理はそのまま管理能力に直結します。サービスの質を標準化し底上げを図る過程で、管理職のマネジメント力やリーダーシップは飛躍していきます。

 また、スタッフに対しては「監視」ではなく「人材育成」という観点で接することが大切です。当記事でご説明した管理方法も、その目的はお客様に満足いただけるサービス品質を提供できる人材を育てることに他なりません。スタッフの成長を促しつつ、管理職層が自らの管理能力を高めていくという好循環が生まれることで、現場力は向上していきます。

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