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    ファシリテータは自分の意見を発言するべきか?

    ファシリテーターの役割

     ファシリテーターの役割は“会議設計”と“会議進行”により、“グループや組織の意思決定を支援すること”です。会議の目的や目標、成果物に向かっての議論の道すじを設計し、議論中のテーマや論点ズレを正し、意見の深掘りや拡大を行い、判断基準を示して合意形成に至るまでのプロセスを管理するのが役割です。

    ・参考記事:ファシリテーターの役割 

     

     したがって、ファシリテーターが積極的に自分の意見を述べることは原則としては適切ではありません。ファシリテーターがメンバーと同じように自分の意見を頻発すると、議論の結論を誘導しているように映りますし、そもそもメンバーの知見を活かした質の高い意思決定という会議の目的とは違います。

    ファシリテーターが意見を発言するとき

     しかし、だからといってファシリテーターが自分の意見を持たなくてよいというわけではありません。むしろ議題や論点に対し、ファシリテーターはその時点での自分の意見は持つべきと考えます。ただしそれを発言するかどうかは、会議の状況によります。

     ファシリテーターが自分の意見を発言する状況は次のような場合です。

    ・発言が出てこないとき

    ・会議の人数が少数のとき

    ・メンバーに情報や知識が不足しているとき

     このような状況では、ファシリテーターが意見を述べることで議論が一歩前進し、その後の議論活性化につながります。

    発言が出てこないとき

     アイデア発散議論で議題や論点に対しアイデアの発言が出てこないときなどです。議題や論点の抽象度が高い場合や、メンバーがその議題について経験や知識を有していない場合、あるいは発言したら批判されるのでは、と躊躇している場合などです。

     このときは、“例示”という意味でファシリテーターが個人的に持っているアイデアを発言することで、その後にメンバーが発言しやすくなる効果があります。あわせて、アイデア発散議論のルールとして“批判厳禁”や“他人の意見にタダ乗りOK”といったグランドルールを再度示すことも有効です。

    会議の人数が少数のとき

     参加メンバーが2~3人の場合、どうしても自分自身がアイデアを出さなければならないときもあります。ただし、それでもファシリテーターが率先して意見を発信することは控え、メンバーの意見のあとに自分の意見を続けるほうが望ましいです。

    メンバーに知識や情報が不足しているとき

     メンバーが議論を進めるにあたり知識や情報が不足しており、議論の目的を理解していない状況で会議がスタックしたり暴論が多い状況では、メンバーが知らない事実に基づき自分の意見を述べることで、議論が先に進むことがあります。特に議題の目的や目標に対してメンバーが腹落ちしていないときには有効です。

     例えば、売上が落ち込んでいるA事業部の緊急売上改善会議を行っているとしましょう。A事業部も頑張ってはいるものの売上が落ちているため、早急に対策を打たなければならない状況です。しかし参加メンバーには色々な考え方を持つ方がいらっしゃいますので「売上が落ちてるといってもA事業部は黒字だ。それに比べてB事業部の方は赤字じゃないか、あっちを何とかした方がいいんじゃないのか?」という会議そのものを否定する暴論に出くわすこともあります。さらにこのような何となく正論に聞こえる暴論が管理職から出ると、他のメンバーにも波及し、会議の熱が冷めてしまいます。

     このとき、まず会議進行で為すべきことはA事業部の目標と現状という事実の共有です。しかしこれだけでは「B事業部と比較して自分たちは悪くない」という感情面での腹落ち感が醸成されません。そうかといってB事業部の現状の共有議論を始めてしまっては、それこそ会議の本筋を見失っていることになります。

     このような場合に、メンバーが知識や情報として持っていない事実に基づく自分の意見を述べることで、議論が先に進むことがあります。このケースで参加メンバーが持っていない情報や事実は“A事業部のビジネスモデルは長期安定のストック型モデルであるため、資金調達時における最重要事業であること”でした。

     これに対してB事業部はフロー型ビジネスで売上増減が激しい事業でした。したがって金融機関とすれば会社に運転資金を融資する際に、A事業部の安定的なストック収入は重視するところです。

     この事業部ごとのビジネスモデルの違いが財務活動上どのような違いを生み出すかをメンバーは誰も知らない場合、やはりその事実を提示した上で、“だからA事業部の売り上げはイコール会社全体の信用力の現れであり、血流を司る重要事業だと思う。それゆえこの緊急会議には大きな意味があると考える”と自分の意見を述べます。こうすることで、改めてA事業部の重要性と存在意義への気付きを促します。

     もちろん、企業のビジョンや目標から各事業部、部門へとそれらがブレイクダウンされ、事業部ごと・部門ごとの目標や目的が共有されていることもありますが、なかなかそのような理想的な組織は少ないです。特にトップマネジメント・ミドルマネジメント・現場という縦のラインが断絶していたり、機能別組織や事業部制組織形態で横のコミュニケーションがうまく図れていない組織の場合、会議の存在そのものを否定する暴論に出くわすことは時々あります。また、暴論として表面化せずとも目的や目標が腑に落ちておらず、後ろ向きな態度を払拭できないときもあります。

     そのような場合に備えて、ファシリテーターは会議設計段階で、会議の目的について広範な視点からよく考える必要があります。会議単位である1部門、1事業部という範疇にとどまらず、企業経営全体での位置づけまで考え、会議の目的に対し事実と自分なりの意見を持っておくことが大切です。

     


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