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    学習性無気力感とは

    学習性無気力感とは

     学習性無気力感とは、過去の失敗や否定された経験が原因で、何をしてもムリ・ムダと考えてしまい、やる気がない無気力状態のことをいいます。

     1967年、理論提唱者のセリグマンらは犬を用いた実験を行いました。予告信号の後に電流が流れる部屋に2グループの犬を入れ、電流回避行動の違いを検証した実験です。

     ・グループ1:実験の前に予め、電流は流れるがスイッチを押すことで電流を回避できる部屋にいた犬。

     ・グループ2:実験の前に予め、電流が流れてどうやっても回避できない部屋にいた犬。

     さて、実験では予告信号後に電流が流れますが柵を飛び越えれば電流回避できるような仕組みの部屋で、この2つのグループの犬がそれぞれどんな行動を取るかを実験しました。その結果、グループ1の犬は柵を乗り越えるという回避行動を取りましたが、グループ2の犬はほとんど回避行動を取りませんでした。グループ2の犬は、電流と自分の行動が無関係であると学習し認知したため、回避できる状況となった場合でも何もしなくなってしまったのです。

    ビジネスマンの学習性無気力感

     従業員数が15名を超えた中小企業の総合コンサルティングにおいて必ずと言っていいほど問題になるのは、この学習性無気力に陥っている従業員との対峙です。ヒアリングや会議などの現場や、従業員意識調査の結果には、

    ・ここで色々話し合ったって、どうせ社長に否定されるよ

    ・色々やってもね~、どうせうちの会社じゃ出来っこないよ

    ・どうせやったって評価されないから

    このような発言が度々登場します。

     どんな組織にも多かれ少なかれこのような発言は登場します。しかしこのような発言や雰囲気が全社的に蔓延していたり、無気力発言が他の社員にまで影響を与えるようになってしまうと、これは組織運営上大きな問題となります。

    学習性無気力感に陥る原因

     学習性無気力感に陥るメカニズムは次のようなものとされています。

    非随伴性

     随伴性とは、行動とそれにもたらされる結果に何らかの関係がある状態のことを言います。それに対し非随伴性とは、行動に関係なく結果が決まっている状態のことです。行動と結果の非随伴性についての学習が成立すると、学習性無力感の前提が成立します。

    経験→認知→予測

     そして非随伴性を伴う経験を何度も続けると今度は、自分が直面している状況は統制不可能なものだという認知が生まれます。そして認知が進むと、将来においても自分の行動は結果に随伴しないだろうという予測が成立します。このあと、非随伴性を経験した課題とは異なる課題に直面しても、学習による予測が事態を一般化させ、新たな課題も統制不可能なものと認識してしまいます。このようにして学習性無気力感が生まれます。

     例えば、提案書を何度も上司に持っていくが、いつも理由なく上司から否定され続ける経験をした社員を考えてみると分かりやすいと思います。

     社員もはじめのうちは自分の提案力不足ではないかという自省心や、仕事への熱意でもって諦めず何度か提案をします。しかしそのたびに否定されるという経験を積み重ねると、「もしかしたら自分がどんなに頑張っても、いつも結果は否定と決まっているのではないか?」と認知し出します。そして認知が進むと、「今度は○○という提案をしてみたいけど、どうせ結果は分かっている、だからやらない」という結果の予測をし始めます。

    従業員の学習性無気力感に向き合う

     言ってみれば学習性無気力感とは自信を喪失していたり、自分の存在価値を認知できないなど、ネガティブな考え方に心が支配されている状況です。これをどのように解消していくか、学習性無気力感がうまれる非随伴性の「経験→認知→予測」という各フェーズから考えます。

    経験

     まず行動に関係なく結果がいつも(良くないものに)決まっているという経験を増やさないようにするには、小さな目標を与え、それを確実に達成するよう支援します。目標達成のための行動が結果に結びついた、という随伴性のある経験を積ませることは非常に効果的です。第1フェーズである経験段階で非随伴性の目を刈り取るのは最も効果的な施策と考えます。

    認知

     非随伴性がそこに存在したとしても、それを非随伴性と認知しないようにしていきます。これは何度失敗してもあきらめず創意工夫を凝らして再チャレンジするというポジティブな考え方を醸成する必要があります。例えば社員や部下が失敗したりしたときに単に叱責・否定するのではなく「何が失敗の原因だったのか、何が足りなかったのか」というその理由や原因を上長が一緒に考え、指摘してあげます。あわせて、失敗した中でも評価できる取り組みについてはきちんと良い評価のフォードバックを与えます。こうすることで本人が非随伴性を認知してしまわないよう、勇気づけていくことが有効です。

     先程例で挙げた「部下からの提案の否定」については、特に部下が新人だったり未熟な場合は、上長からすれば提案レベルが低くて聞く気にならないということもあるかと思いますが、頭ごなしに否定するのではなく、提案の何がいけないのか、どんな前提が掛けているのかなどをヒントのように提示し、書き直しを依頼するなど動機づけていくことが大切です。

    予測

     将来起こりうる課題についても統制不能だ、と考えてしまうと学習性無気力感が生起することとなります。これは経験を一般化してしまうことにより起こっているものですので、本人が経験したこととこれから経験することは環境もテーマも違うことだ、と認識させます。

     例えば無気力感の原因がA製品のプロジェクト運営失敗だったとします。ここで非随伴性を学習してしまうと、次のB製品のプロジェクトについても「やってもダメだ・・」となってしまいます。そこで「A製品とB製品は市場や特性が違うこと、A製品プロジェクトをやってあなたが学んだことをB製品プロジェクトで活かせること」、そういった違いを示していきます。そして小さな目標を設定し、達成感を醸成します。こうすることで失敗の一般化を防ぎ、自身を持たせることで学習性無気力感の改善を図ります。

    まとめ

     学習性無気力感とは、過去の失敗や否定された経験が原因で、何をしてもムリ・ムダと考えてしまい、やる気がない無気力状態のことをいいます。

     どんな組織にも多かれ少なかれこのような発言は登場します。しかしこのような発言や雰囲気が全社的に蔓延していたり、無気力発言が他の社員にまで影響を与えるようになってしまうと、これは組織運営上大きな問題となります。

     学習性無気力感は、非随伴性を経験→認知→一般化して予測する、というプロセスを経て生起します。学習性無気力感を改善するには、

    ・小さな目標設定

    ・適切なフィードバック

    ・過去と今後の課題の環境やテーマの違いの理解促進

    などが効果的です。さらに、

    ・意見具申しやすい社内体制の整備

    ・勤務時間や働き方の工夫による体調管理

    など、従業員が本音を吐き出しつつポジティブな考えを醸成できる環境整備も有効です。

     


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