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    限界利益

    サマリー

    1. 限界利益とは、売上の変化と連動して発生する変動費を売上高から引いた利益のことをいいます。
    2. 限界利益は(売上高―変動費)で計算されます。
    3. 限界利益額(率)を高めるには、「売価を上げる」「外部購入価格を下げる」「ロスを減らす」「プロダクトミックスを変える」という4つの方法があります。
    4. 限界利益を算出すると、損益分岐点売上高の算出や収益構造分析が可能となり、経営上の意思決定に財務情報を活かせる度合いが飛躍的に上がります。

    限界利益とは

     限界利益とは、変動費を売上高から引いた利益のことをいいます。

     「限界」という言葉が初見の方には大変とっつきにくく、難しい印象をあたえております。限界利益という言葉は、英語でmarginal-profitと呼ばれており、marginalとはmargin(マージン)の形容詞です。マージンとは直訳すると「余白・欄外」といい、そこから派生して商業用語で「元値と売値の開き・利ざや」などと訳されます。大雑把に言ってしまえば、商品を販売して得られる「粗利」に近く、よく私たちもその意味で「この商品はマージンが大きい」といった使い方をしています。

     したがって限界利益とはとてもシンプルなモノであり、次のように計算されます。

    限界利益

     変動費とは、売上の変化と連動して変化する費用のことです。例えば次のような勘定科目が挙げられます。

    1. 製造業:原材料費、消耗品費、外注加工費、荷造運賃、燃料費
    2. 小売卸売業:商品仕入高、包装資材費、運搬費

     これらのものは、製品を1つ作ったり売ったりするときに、その販売量に応じて増減する費用です。

    ※参考記事

    費用を変動費と固定費に分けるメリット

    損益分岐点の意味するものと、改善の方向性

    限界利益を高める4つの方法

     限界利益を高めるには、次の4つの方法があります。

    売価を上げる

     これは商品の販売単価を高くするということです。

    売価を上げる

     実際に販売単価を上げるには考えることが沢山ありますが、理屈としては非常にシンプルなものです。

    外部購入価格を下げる

     仕入れ価格や材料費を下げることです。

    変動費を下げる

     これも実際に材料費や仕入れ価格を下げるのは大変なことですが、シンプルな理屈です。

    ロスを減らす

     これは原材料の廃棄を少なくすることで生産量を増やし、製品1コあたりの変動費を削減し、限界利益を上げる取り組みです。

    歩留まり

     上記2つの歩留まりを比べると、下の図の方が歩留まりが高く、同じ材料からの生産量が多くなっています。これを数字に置き換えると次のようになります。

    ・8枚生産の場合

    製品1個当たり売価 1,000円
    生産量 8個
    売上 8,000円
    材料費 6,000円
    製品1個当たり材料費 750円
    限界利益 2,000円

    ・9枚生産の場合

    製品1個当たり売価 1,000円
    生産量 9個
    売上 9,000円
    材料費 6,000円
    製品1個当たり材料費 667円
    限界利益 3,000円

     このように歩留まりが改善してロスが減ると、製品1個当たり材料費(=変動費)が低下し、限界利益が大きくなります。

    プロダクトミックスを変える

     最後はプロダクトミックスを変える方法です。プロダクトミックスとは企業が提供する商品の組み合わせのことです。商品A~D4つの商品を扱っているとします。これらの商品それぞれの売上構成比に変化を起こすことにより、限界利益を高めることが出来ます。

    ※実際のプロダクトミックスの改善は、小売り業の場合は粗利率・商品回転率・交差比率・貢献比率などの指標を用いて行います。製造業の場合は製品ごとの製造時間当たりの限界利益から最適プロダクトミックスを考えます。また変動費には運賃や梱包費など様々なものがあります。ここでは限界利益を高めるプロダクトミックス改善効果を分かりやすく説明するため、以下のような単純な例でご説明します。

    プロダクトミックス

     限界利益が高い商品AとBは、単価も高いこともあり販売量が少ない商品です。商品CとDは単価が低く限界利益も小さいですが、その分販売量の多い商品です。

     当初は売上高が566,000円、限界利益が177,820円でした。店舗の方針を転換し、高価格帯商品の販売を推進しました。

     その結果、販売数量は商品Aは30個、Bは30個増加しましたが、商品CとDは販売が鈍り、商品Cは50個、商品Dは100個販売量が減少し、トータル販売量は780個から690個に80個減少しました。

     結果的には売上は566,000円から581,000円に、限界利益は177,820円から189,840円に増加しました。

     とても単純な理屈ではありますが、プロダクトミックス全体で収益性を考えることは、限界利益を高めるのに大切な視点です。

    限界利益の活用方法

     限界利益を算出すると、損益分岐点売上高の算出や収益構造分析が可能となり、経営上の意思決定に財務情報を活かせる度合いが飛躍的に上がります。

     限界利益をこれらの分析に活用する際は、額面ではなく「率」を用います。なぜなら、限界利益は売上高に連動する利益であり売上や費用の増減に連動して額が変わるからです。次の一次関数の傾き部分が限界利益率と変動費率です。

    限界利益率

     なお、限界利益率は次ののように計算されます。

    限界利益率式

     収益性を改善するには、売上高を上げる、限界利益率を高める(=変動費率を下げる)、固定費を下げる、の3つの方法しかありません。固変分解をすることで収益構造を詳細に分析できます。そして未来に向けた有効な意思決定に財務情報を活かせる度合いが飛躍的に上がります。


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