債務償還年数
債務償還年数とは
借入金は企業が発展するうえで有効に活用したいお金ですが、借入金への依存度が高まると経営リスクが高まることになります。
資金調達を行う際に金融機関が融資を判断する項目として、
①お金の使用使途
②返済能力
がありますが、債務償還年数とは企業の借入金返済能力を表す指標です。売上規模、収益力、資産状況に照らし合わせて、企業の借入金返済能力に比べて借入額が妥当かどうかを図る指標です。
債務償還年数の計算式
債務償還年数は次のような計算式で計算されることが一般的です。
債務償還年数=借入金÷キャッシュフロー=(長期借入金+短期借入金)÷(経常利益+減価償却費-税金) |
この計算式で、キャッシュフローで借入金を何年で返済できるかが明らかになります。
債務償還年数の目安
債務償還年数は、もちろん短ければ短いほど安全度が高く望ましいということになりますが、一般的に10年以下であれば、ひとまず安全圏であると判断されます。
しかし設備集約型の製造業や宿泊業など、定期的な設備投資が大きい業種では、20年以内に収めることが望ましいです。
債務償還年数による目標の設定
経営計画へ債務償還年数を盛り込む
借入金が過大な場合、経営計画にて目標債務償還年数を盛り込みます。
・何年後に債務償還年数を適正水準まで短縮するのかという期間
・そのために必要な毎年のキャッシュフロー
・そのために必要な利益と売上高
これらを設定し着実に債務償還年数を減らしていくことで、経営の安全度を高めるだけでなく、金融機関との関係を良好なものとすることに繋がります。
事例
債務償還年数を現状の15年から、2年で10年まで短縮する計画の事例をご紹介します。まず、成り行きで業績が変わらない場合の計画が次の図です。
毎年経常利益が20百万円で続くことを想定したケースですが、この場合債務償還年数は2年後に13年となっており、10年という目標を達成するためにはキャッシュフローやそれに伴う経常利益額目標の見直しが必要となります。
債務償還年数を2年後に10年以内にするシミュレーションが次の図です。
債務償還年数を1年後に13年、2年後に10年にする場合、キャッシュフローはそれぞれ24百万円→28百万円、必要経常利益は23百万円→30百万円にアップさせる必要があることが分かります。
まとめ
債務償還年数は企業の返済能力を図るうえで重要な指標です。常に現状の借入金額とともに債務償還年数をコントロールしていくことで、経営の安全度や金融機関からの信頼を高めることに繋がります。
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