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労働生産性の現状と課題

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※当記事は、東京都中小企業診断士協会三多摩支部の経営者向けコンテンツへの筆者寄稿の抜粋になります。

生産性とは

 生産性とは「生産要素の有効利用の度合いである」と定義されます。簡単に言えば、事業に投入した労働力や設備が、その何倍の利益を生み出しているのかを図る指標が生産性です。算式で表すと次のようになります。

 この算式が示すように、生産性を向上させるには分母であるインプットの削減あるいは分子であるアウトプットの増加を図ることが基本的な考え方になります。

 さらに生産性の中で最も重要視される指標が「労働生産性」です。労働生産性とは従業員1人が生み出した付加価値額(利益額)を表します。投入する資源の中で最も大きな費用を占めるものが「人件費」、すなわち労働力です。従業員1人がどれだけ利益に貢献しているかは、多くの経営者にとっての関心事ではないでしょうか。

なぜ今、生産性向上が必要なのか?

 人口減少による労働人口と需要減少

人口減少により優秀な人材確保はますます困難になると同時に、国内需要量も縮小していくことが見込まれます。企業には少ない人的資源で最大限のアウトプットを創出することが求められています。

働き方改革への対応

 個人のワークライフバランスを尊重した政府の取り組みである働き方改革への対応が求められるなかで、もはや長時間労働や一律の雇用形態に頼った業績の維持・向上は出来なくなりつつあります。

日本の労働生産性は先進7か国中最下位

 日本の時間あたり労働生産性は約50年間、先進7か国で最下位を独走しています。人口減少局面を迎え、さらに個人のワークライフバランスが重視されるなか、依然従業員の労働生産性が低いままでは、今後ますます競争力の弱体化を招く恐れがあります。

出典:日本生産性本部:労働生産性の国際比較

生産性向上は社会、企業、個人(労働者)の課題を同時に解決する

 人材不足と市場縮小への対応、働き方改革への対応、個人のワークライフバランスの実現、企業競争力の強化・・・これらの課題をすべて解決できる手段が「生産性向上」に他なりません。限られた労働量で最大限の付加価値を創出すること、言い換えれば従業員の数を増やすのではなく、限られた従業員1人1人がより多くの利益を生み出せる仕組みを作ることで、これらの課題をすべて解決し、企業に持続的競争優位をもたらすことが可能となります。

生産性向上は企業、従業員双方に利益をもたらす

 労働生産性向上は、従業員1人当たり賃金と企業の利益双方を同時に増加させることになります。利益に占める総額人件費の割合を増やすことなく従業員の賃金を向上させることができ、優秀な人材確保にも繋がります。またそれが企業に高い生産性と利益をもたらし、企業・従業員双方がWin-Winの関係を築く好循環が生まれます。

生産性向上に必要な4つの視点

 生産性向上はその指標が示す通り、分母の経営資源投入量を削減し、分子の付加価値を最大化することで達成されます。

 生産性向上とはコスト削減や時短ばかりではありません。もちろん、価値の低い作業は業務の標準化やIT技術の活用で徹底的に効率化すべきです。しかし、それだけでは企業の持続的競争優位を築くことにはつながりません。

 業務プロセスそのものを変革することによる大幅なコスト削減、儲けを生み出すビジネスモデルへの変革、市場に高い価値を提供する画期的な商品/サービス開発など、インプット削減とアウトプット増大の両輪があってはじめて生産性向上が実現されます。

 また組織や人材の学習・成長の視点も見逃せません。組織や従業員が、現状の業務プロセスや顧客への提供価値について絶えず疑問を持ち、「もっと業務を効率化できないか」「もっと顧客への提供価値を増大させる革新的なサービスを打ち出せないか」などを自発的に考え、スピーディな意思決定をしていく仕組みをつくることが、生産性向上の大きなカギとなります。そのための従業員の能力開発、目標設定や評価の見直し、最短時間で価値ある意思決定を可能とする会議体運営など、管理職やホワイトカラー層の生産性向上は大きな課題です。

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