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働き方改革のキーとなる労働生産性

労働生産性

労働生産性

サマリー

  1. 労働生産性とは、企業にとって最も重要な経営資源である「ヒト」すなわち社員1人が、どれくらいの稼ぎを生み出しているかを測る指標です。
  2. 労働生産性(製造業)=付加価値率×労働装備率×有形固定資産回転率
  3. 労働生産性(小売業)=付加価値率×1人当たり売上高
  4. 働き方改革への対応を迫られる昨今、社員満足度を高めつつ、企業の業績を向上させるためには、労働生産性の向上が必要不可欠となります。

労働生産性とは

労働生産性

 生産性を表す指標には、投入する経営資源に応じて「資本生産性」「労働生産性」「設備生産性」などがあります。その中で労働生産性とは、企業にとって最も重要な経営資源である「ヒト」がどれくらいの稼ぎを生み出しているかを把握する指標です。

 労働生産性の算式は以下のようになります。

労働生産性

 社員数を分母とし、企業が経営資源を使って生み出した稼ぎを表す付加価値額を分子とします。

労働生産性の意味するところ

 労働生産性は社員1人がどれくらいの稼ぎを生み出しているかを測る指標であり、社員1人1人のスキル、頑張り、仕事へのモチベーション、社員教育の成果などが反映されている指標です。経営資源のうち「ヒト」の扱いが最も難しいというのは、多くの経営者様が実感なさっていることではないかと思います。

 社員の方々は大きな付加価値を生み出す最強の経営資源になることもあれば、そうでないこともあります。しかもそれは設備のように常に一定のパフォーマンスが保証されるわけでなく、外部環境の変化やスキルの習熟度、教育体制、社内体制の変化、社員本人のモチベーション状態などによって上下します。

 労働生産性は組織の活性化状況や、労働と成果のバランスを反映している指標であり、働き方改革へ対応するために押さえておくべき最重要指標ということができます。

労働生産性のブレイクダウン

 労働生産性を分解すると以下のようになります。

労働生産性ブレイクダウン

 労働生産性は、

・製品の利幅を示す付加価値率

・社員1人あたりがどれくらいの設備(機械や建物など、経営資源のうちモノに該当するもの)を保有しているかを示す労働装備率

・設備などの有形固定資産がどれくらいの売上を上げたかを示す有形固定資産回転率

に分解されます。

 なお、小売業やサービス業などの非製造業の場合は以下のように分解するケースが多いです。

労働生産性分解 小売サービス業

・商品の利幅を示す付加価値率

・社員1人当たりの販売効率を表す一人当たり売上高

 以下にあるサービス業を営む企業様の分析一例を簡単にご紹介します。

労働生産性事例

 労働生産性は減少後多少増加傾向にあり、その要素を分解すると付加価値率はほぼ横ばいですが、一人当たり売上高が減少後増加しています。つまりこのケースでは、一人当たり売上高が労働生産性変化の引き金となっていることが分かり、その背景には「サービス提供時間の変化」や「社員一人当たり対応顧客数」、「教育体制の変化」があったのではないか、という仮説を立てることができます。

 

社員満足度と企業の業績を同時に向上させるためには、労働生産性の向上が必要不可欠

 労働時間上限規制や有給休暇取得の義務化など、働き方改革への対応は多くの企業様にとって大きな関心事となっているのではないでしょうか。

 人口減少の中で、多様な働き方の推進による労働力維持を目的とした働き方改革ですが、企業様にとってはより少ない労働力・労働時間で今までと同等以上の業績を上げなければならない状況となっています。

 ある意味トレードオフともなる関係を同時に成立させるためには、労働生産性の向上が不可欠です。改めて労働生産性の算式を示しますと

労働生産性

となります。

 分母の従業員数は、更に分解すると社員1人・1時間当たりという「時間」に置き換えることもできます。これを人時生産性と言います。

人時生産性

 労働生産性の算式の分母を社員全体の総労働時間に置き換えたものです。これにより、社員さん1人が時間当たり生み出す稼ぎが明らかになります。

 この人時生産性を向上させるには、

1.総労働時間を下げて付加価値を維持する

2.総労働時間を変えないまま付加価値額を高める

3.総労働時間を高めてそれ以上に付加価値額を高める

4.総労働時間を下げて付加価値額を高める

 この4通りの方法のいずれかとなります。

 どのようなやり方が企業にとって良いのかは、業種業態、ビジネスモデルによって様々です。いずれにしても考えるべきことは、企業と社員の双方がWin-Winの関係を築くことなのではないかと思います。

 労働生産性の向上を考える場合、生産性指標の他に「付加価値に占める総額人件費の割合を示す労働分配率」や「一人当たり人件費」についても併せて考える必要があります。これらの指標は経営者・社員さん双方にとってデリケートかつトレードオフが発生する部分です。

 しかし今後企業にとって生産性の向上は必要不可欠な課題であり、その中心を担う指標が労働生産性です。労働生産性を高めていくことが、企業の永続的発展と社員1人1人の満足度向上に繋がっていくと思います。

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