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中小企業(オーナー企業)における経営計画の本質

経営計画は社長・社員の姿勢を一変させる力を持つ

 経営計画、それは「顧客ニーズに応えるための自社のあり方を定義するもの」です。経営を取り巻く環境は不確実かつ不安定、そして不透明。そして近年は益々この傾向に拍車がかかっています。その中で企業は顧客の要求に応えていくことでしか発展できません。

 経営計画は、雲を掴むような環境変化という霧の中で、社長はじめ全社員に希望と勇気を与えてくれるひとすじの光です。私は経営計画策定支援をする中で、経営計画策定によって誰よりも経営者本人が大きく変革していく姿を見てきました。

経営者の変化

 今までモヤに包まれていた視界がパッと開け、ありたい姿への道すじ・目標・将来の経営数字・内部統制のイメージが鮮明となっていく。そして経営者が将来の展望に胸を躍らせ、腹を決めていかなる困難にも打ち勝とうと、ポジティブで清々しく、吹っ切れた経営姿勢に変化する。そしてそのエネルギーが組織全体に広がり、ベクトルが統一され、組織全体が自らの役割を理解して前向きに行動し、次々に結果を出していく・・・

 経営者が時間をかけて考え抜いた会社の将来像を、経営計画という形で言語化することで、経営者の不退転の決意が芽生えるのです。経営計画は経営者の将来に対するコミットであり、顧客に対するコミットであり、組織内部へのコミットであり、外部機関へのコミットであるのです。これが信頼と希望を生み、沢山のパワーを集め、事業運営を加速させていくのです。

社員の変化

 そしてこの経営計画書を自社の羅針盤として、経営会議の度に計画書と活動実績を照らし合わせます。計画と実績の乖離は市場からの声なき声を反映しています。部門長は自分たちの役割と責任にしたがい、活動内容に修正と改善を加え、現場は自ら工夫して活動成果を高めようと努力します。

 彼らは「今までどうだったか」という過去を見ていません。社員の努力すべきポイントと、成果に対する処遇は経営計画に示されています。彼らは経営計画に示された未来の姿に向かい、希望を持って仕事に取り組んでいるのです。

無形資産の蓄積

 経営計画の方針に基づく活動とそのノウハウは、競合他社に真似できない無形資産として蓄積されます。戦略の遂行において力点を置くべき要の活動は経営計画で明らかになっています。その領域に経営資源を投入することで、爆発的にノウハウが蓄積されます。蓄積されたノウハウは勝ちパターンとして会社の持続的競争優位の源泉となります。そしてそれが(戦略が市場と適合しているあいだは)自社を強烈に競合と差別化し、当社独自のポジションを築き上げることになるのです。

資金の見通し

 資金繰りに頭を悩まし続けることもなくなります。いつどれくらいの資金が必要になるのか、実績が計画と乖離した場合に不足する資金がいくらなのかは、全て経営計画書で予見されています。これにより経営者は予め資金不足に対する手立てを打つことができま、資金繰りに費やす時間は最小限となります。顧客価値に影響を与えない資金繰りに頭を支配されることがなくなり、より良い顧客満足と業績拡大を考えることに時間を使うことができます。

経営計画書に必ず記載される3つのこと

当社のありたい姿

 顧客ニーズに応えるための最適な組織こそ、経営者と社員が一緒になって作り上げるべき企業の姿です。つまり目的となるありたい姿を描くには、市場・顧客を知らなければなりません。企業内部にその答えはないのです。答えは常に顧客の中にあります。

 顧客は常に何らかの悩みを抱え、理想を持っているのです。その顧客が持つ課題の解決こそが自社に求められる役割であり、存在意義です。当社のありたい姿を描くには、自社の顧客は誰でどのような課題を抱えており、自社はどのようにその解決に役立てるかを徹底的に考える必要があります。そのためには、顧客を知る努力が必要です。

 そしてその市場で当社はどの程度の市場規模を狙うかを決めます。これは考え方を逆にする必要があります。自社がナンバー1になれる可能性が見えるまで市場を細分化し、頑張ればナンバー1を獲れる規模の市場にターゲットを絞るのです。

これからの経営方針

 方針とは、ありたい姿へ到達するための活動の明確な方向付けと急所を示したものです。基本的な経営姿勢に関する方針、商品に関する方針、販促方針、営業方針、チャネル方針、新事業方針、生産方針、組織体制方針、人材方針・・・およそ経営活動に内包される重要要素について個々の方針を定めるのです。その方針の先にはは、常に「当社の市場・顧客の要求を満たすため」という目的がなくてはなりません。

 経営はいくつもの機能が有機的に組み合い、最終的に顧客に価値を提供するトータルシステムです。機能は個々で存在しているのではなく、全体の1つとして存在します。そして顧客に対する自社の成果物は、トータルな企業活動によるアウトプットの価値なのです。個々の機能における方針は、そのアウトプットの価値を出発点として定義されます。経営者は、全体最適の視点で個々の機能別方針を定める必要があるのです。

経営数字目標

 方針書に基づき、利益計画・目標バランスシート・資金運用計画が検討されます。経営者が望む希望利益を達成する損益計画が利益計画、利益計画の実行に必要な資金計画が資金運用計画、そして経営数字面からのありたい姿を1つに表した目標バランスシートが完成されます。

 残念ながら経営計画というと、この経営数字目標だけが立派なエクセルシートに打ち出されており、ありたい姿や方針は飾り程度にしか示されていないケースが多く見受けられます。しかし本来は数字を実現する手段と経営者の決意を示している方針こそが経営計画の魂なのです。

経営計画の要約

 経営計画書で謳われる内容を300字で要約すると次のようになります。

我が社は〇年後までに、Aという企業理念のもと、B事業分野でCという結果を出す。その実現に向けた戦略はDである。そして戦略を実行するための部門別方針はEであり、活動の急所はFである。

 この計画を成就するため私(社長)はGという態度と決意で臨む。そして我が社の人材にはHという行動指針を定め、Iという目標と役割を求める。そして計画達成時の処遇水準はJであることを約束する。

 この計画は毎月進捗がモニタリングされ、予実チェックがなされる。予実差異が知らせてくれる市場からの声に耳を傾け、私たちは活動を前向きに改善し、計画を達成していく。

まとめ

 経営計画を正しく作り正しく運用することは、経営者に不退転の決意による勇気を与え、社員に目標達成意識と当事者意識を与え、会社全体の事業構造を革新していくパワーを与えてくれます。本物の経営計画は、経営者自らが市場と顧客の声に耳を傾け、トータルシステムとしての自社のあるべき姿と方針を苦心の末仕上げた計画です。決して経理に計算させた数字を並べた計画が経営計画ではないのです。

 私自身、経営計画策定及び経営計画に基づく企業活動支援を行う中で、経営者の顔つき・発言内容・経営姿勢が変わり、社員の当事者意識が高まっていく姿を見させて頂いています。

 経営計画を策定するのは、経営者の最大の仕事と言っても過言ではありません。じっくりと時間をかけて取り組めば、必ずそれに見合ったリターンを得ることができます。当ブログにも経営計画策定に役立つ情報を沢山載せておりますので、ぜひご参考ください。

 

 

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