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ミッション・ビジョン・バリュー②~その経済価値についての考察~

※前半記事はこちらをご覧ください→ミッション・ビジョン・バリュー①

ミッション・ビジョン・バリューを決めると利益が上がるか?

 ミッション・ビジョン・バリューを定めることの経済価値はどの程度なのか?

 以前ある社長様から「ビジョンや理念を立てたら儲かるのですか?」というご質問を頂いたことがあります。このご質問の意図は「毎日の血生臭い現場必死に頑張っているのに、理想論的な建前を作るだけで利益が上がるのか?」ということでした。

 ビジネスの現場は混乱、駆け引き、人間関係、競争など熾烈な環境にあります。そして社長業ともなれば数字とお金の問題、組織の問題、取引先とのパワーバランスなど、寝ても覚めても意識せざるを得ない重要な問題に向き合っています。

 その中で、ややもすれば綺麗ごとに聞こえるミッション・ビジョン・バリュー、あるいは経営理念といったものにどんな価値があるのか?という疑問が芽生えてくるのも無理はありません。

 この記事では、ミッション・ビジョン・バリューが「経済的に」どのような価値を持つのかを考えます。

ミッション・ビジョン・バリューの経済価値

 ピーター・ドラッカーは「ミッションやビジョンを定めるトップマネジメント以外のすべての業務はアウトソーシングできる」と述べています。

 企業活動の全ての責任はトップマネジメントの在り方に依拠しているという前提に立てば、このドラッカーの言葉には「ミッション・ビジョンの洗練さ・浸透度が、企業の社会的価値とともに経済的価値の可能性を決める」ということではないかと考えます。

 ここでミッション・ビジョン・バリューの意味をおさらいします。

  1. ミッションとは「我が社が社会で実現したいこと」(ドラッカー)
  2. ビジョンとは「我が社のミッションが実現した時の状態」を表したもの(ドラッカー)
  3. バリューとは理想のビジョンに到達するために組織のメンバーが持つべき「価値基準・判断基準・行動指針」を示したもの

ミッションとは、我が社が解決すべき顧客の願望や不を決めること

 多少語弊はあるもののミッションを端的に表現すれば、ミッションとは世の中のどんな課題を解決したいかを定めることです。もっと単純に考えれば、世の中の誰が抱えているどんな問題解決に我が社が役立っていくか、を決めるということです。

 基本的に、解決手段の経済価値はそれが解決できる願望や不満の大きさに比例します。

 そして社会における願望や不の大きさは、

  1. それを抱えている人の数
  2. その大きさ
  3. その発生頻度

の積で決まります。つまり我が社のミッションが、社会・顧客の抱える問題のうち、大きな問題にフォーカスしていればいるほど、そのミッションは高い経済価値を持つ可能性があるということです。

ビジョンとは、ミッションの達成により得られる社会的・経済的価値を決めたもの

 ビジョンは、ミッションが達成されたときの、我が社の社会での立ち位置や規模、得られる評価はどうありたいのかを言語化することです。

 すなわちビジョンとは「ミッションで定めた顧客・社会が抱える願望や不の大きさを解決した場合その経済価値はどの程度か」、を定めたものと言えます。

ミッションとビジョンは、経済価値の視点において表裏一体の関係にある

 さらに、「解決手段の経済価値はそれが解決できる願望や不満の大きさに比例する」という前提にたつと「顧客・社会が抱える願望や不の大きさ(ミッション)=企業が得られる経済価値の大きさ(ビジョン)」ということができます。ミッションとビジョンは表裏一体の関係にあるということです。

いかに大きな願望・不の解決をミッションとするか?が企業の経済価値の上限を決める

 このように考えると、企業が得られる経済価値の上限は、ミッションで規定した社会・顧客の願望や不の大きさで決定することになります。

 大企業が非常に大きく且つ抽象的なミッションを掲げているのは、それが大企業の解決したい世の中の困りごとであり、大企業が大企業たる業績を打ち出す経済価値のあるものだからです。

 先程の方程式で言えば、「人の数×大きさ×頻度」のうち、BtoC企業は「人の数」が非常に多い領域にフォーカスしているケースが多く、BtoB企業は「願望や不の大きさ」が非常に大きい領域にフォーカスしているケースが多いです。

私たち中小企業はどのようなミッション・ビジョン・バリューを定めるべきか

 中小企業が定めるべきミッションは、基本的には一極集中で定める必要があります。先ほどの方程式でいうところの「人の数」に対応するのは体力的・オペレーション的に極めて困難であることがその理由です。

 したがって私たち中小企業がフォーカスすべきは、願望・不の「大きさ」と「頻度」になります。

 例えば「ある路上から始めた、たたき上げの靴磨き職人」が、従来の靴磨きの概念を覆し、「顧客の生き方」にフォーカスして高い収益を上げている例があります。ただ単に「靴をきれいにする」というミッションではなく、靴磨きという手段を通じて「紳士としてのたしなみ」という、より上位の欲求を満たすことをミッションとしている結果、相場の数倍の価格で靴磨きを依頼する顧客が集まり、またそのミッションを遂行するべく商品開発など様々なアイデアを打ち出し、独自の地位を築いています。

 「靴をきれいにする」ことと、「紳士としてのたしなみ」のどちらに、顧客は高い価値を感じるか?言い換えれば高い対価を支払うか?これがミッションの違いによる経済価値の違いです。

 つまり、顕在化している願望や不にフォーカスするより、その奥にある大きく人を支配している抽象的な願望・不にフォーカスすることで、企業が提供する解決策の価値は高まるということです。

 さらに、そのような大きな願望・不にフォーカスしたミッションを掲げることで、近視眼的なサービス提供だけでなく、より広範な視点からサービスのアイデアを考えだすことができるようになります。

 そしてそのミッションをクリアした先にある自社の姿がビジョンということになり、それを実現するために必要な判断基準や行動指針がバリューです。

まとめ

 ミッションは自社が解決すべき顧客の願望・不にフォーカスすることであり、それが大きければ大きいほど解決手段であるサービスの経済価値は高まります。つまりミッションを決めるということは自社の経済価値の上限(どこまでの経済価値を手に入れたいか)を決めるということにつながります。

 ミッションが深く顧客の願望・不にフォーカスしていればいるほど、その上限は引き上げられることになります。そしてそれが達成された先にあるビジョンも大きなものとなり、それが自社が目指すべき姿となります。

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