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トップダウン?ボトムアップ?意思決定スタイルはどちらがいい?

Q.私は伝統産業に身を置く老舗企業の30代後継者です。意思決定方式にはトップダウン型とボトムアップ型がありますが、どちらのスタイルが望ましいのですか?

A.意思決定スタイルとしてトップダウン型(経営層が戦略を決定し現場が戦術を実行する型)が良いかボトムアップ型(現場も意思決定のための情報提供や議論に参加する型)が良いかは、2者択一で決められない性質のものです。
 着眼点としては
・市場の変化の速さ、競争環境の激しさ、取引先の交渉力といった外部環境の様子
・経営資源の質と量(規模)
などを勘案した上で、状況に即した意思決定スタイルを描くことが大切と思います。
 例えば、IT、AI、先端技術に関する業界は、技術進歩が目覚ましいうえに市場の創成期は不確実性の高い業界です。このような業界では市場の変化、技術進歩、ニーズやチャンスを積極的に掴みに行くことが必要ですから、組織運営においてもスピード感が求められます。したがってある程度現場に権限を付与し、現場の意見をスピーディに吸い上げ、意思決定に活かすボトムアップ型が有効と考えられます。
 一方、成熟産業で激しい競争もなく、比較的環境変化が温和な業界では、中長期的な戦略に基づいて既存の取り組みを少しずつ高度化していくことが競争優位の維持に繋がります。素早い意思決定や新しい知の探索もそれほど必要ないことから、意思決定機能をトップに集中させ、現場には業務の高度化に専念してもらうトップダウン型の方が適していると考えられます。
 しかし近年、技術革新やビジネスモデルの革新はあらゆる産業に影響を与えています。例えば農業の世界にAIが持ち込まれたり、伝統産業の1つである酒蔵が最新のマーケティング手法とデジタル技術を駆使して新たな市場を開拓したりと、成熟産業でも相次いでイノベーションが発生しています。
 近頃、事業承継をめぐって親子間で意見が対立する背景には、競争環境やイノベーションに対する認識の相違があります。特に若い世代はネットやSNSで様々なバックグラウンドを持つ人たちと交流することが普通になっています。
 全ての業界とは言えませんが、かなり多くの業界で、既存の知と新たな知を巧みに融合させたイノベーションが活発に起こるはずです。つまり新規参入業者やゲームチェンジャーの発生、新たな市場の誕生と既存市場の衰退、画期的な商品サービスの誕生など、環境変化は速く不確実性の高いものになっていくということです。
 したがって環境で発生する小さな変化を社員1人1人が感知し、それを社内に挙げて議論し意思決定を加速させるというボトムアップ型寄りの意思決定スタイルは今後増えていくものと思われます。
 ただし、ボトムアップ型の意思決定スタイルは、トップダウン型に比べ、より高度な組織マネジメントや人材育成が必要となります。ボトムアップ型は民主的な雰囲気がして聞こえはいいですが、ボトムアップ型にしたからといっていきなりうまく機能するスタイルではありません。この点はまた改めてお伝えします。

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