1. HOME
  2. ブログ
  3. マネジメントを強化する
  4. 権限委譲を進める際の留意点

BLOG

ブログ

マネジメントを強化する

権限委譲を進める際の留意点

権限移譲の本質は「責任移譲」

Q. 「経営者や管理職は、もっと現場に権限を委譲しなさい」と言われることがあります。たしかに権限移譲できれば良いと思いますが、なかなか当社の組織では難しそうです。権限移譲を進めて行くには、何に気を付けたら良いでしょうか?
A. 権限移譲の本質は「責任移譲」と捉えるべきと考えます。経営者の権限の一部を移譲するのではなく、経営目標の一部あるいは下位目標の実現に対する責任を移譲する、という見方をすることで、健全な権限移譲の姿が見えてきます。

権限移譲は目的や目標達成の手段

 企業活動には目的と目標があるはずです。組織活動の全てはその実現のためにあると言っても過言ではありません。権限移譲は、組織の目的と目標の実現に向けた効果的な意思決定スタイルをどうするか、というテーマの1つです。

権限とは?

 権限とは、自分の意志で物事を判断・決定・実行できる範囲を表します。ではなぜ、権限なるものが発生するのでしょうか?それは権限を行使することで「果たすべき責任」があるからです。「権限責任一致」という言葉がありますが、これは「責任を果たすためにある程度の裁量が必要になるため、相応の権限が与えられる」と解釈するべきと考えます。つまり権限は、企業の目的や目標を実現するという責任を果たすために必要な手段・力ということであり、「責任が主」で「権限が従」の関係となります。

「権限移譲」という表現は誤解を生む

 しかし、意思決定をより現場に近い層に降ろす、すなわち「責任の一部」を現場に降ろすという意思決定スタイルを「権限移譲」という呼び方をするために、様々な曲解が生じてしまうのです。権限移譲した途端、権限の乱用、ハラスメント、ご都合主義、セクショナリズムなど、権限という言葉に潜むマイナス要素が露呈する組織も多いですが、その根本的な理由として、「権限」という言葉が独り歩きしてしまい、権限移譲の本質である「責任」が忘れらてしまうことが多い、ということが挙げられます。

上位者の責任の一部を担い、活動方針を共有する

 権限移譲の本質が責任移譲であるとするならば、そもそも与えられた責任は何か?が明確になっていることが必要です。これはより上位の経営目標に紐づいた目標であるはずです。また、その目標を達成するための基本的な上位方針が何なのかを、移譲された人は理解する必要があります。
 例えば、ある市場における売上や粗利益を目標とする部門が、その目標を達成するためなら何をやっても良い、ということはないはずです。主要商品や主要顧客、値引き幅、既存顧客の深耕と新規顧客開拓、チャネル別販促方針など、いくつかの戦略・ガイドラインといったものがあるはずです。責任移譲された部門長は、これらの活動方針をしっかりと理解した上で、具体的施策の決定やマンパワーの配分における権限を行使します。

上位者は遂行状況をチェック

 上位者は下位者の責務遂行状況をチェックしましょう。ここまで述べたように、権限移譲は上位者の目標達成責任の一部を下位者に移譲しているわけですから、その遂行度のチェック・指導・助言といった形で介入する場を設けることが必要です。先ほどの活用方針の共有やこのチェック機能が乏しいと、権限移譲ではなく放任となってしまい、目標や方針とズレた活動が続いてしまうリスクが発生します。

権限移譲の成否

 権限移譲により、会社が更なる高い業績や生産性を発揮できるかどうかは、「責任の移譲」「活動方針の共有」「チェック機能」が備わっているかどうかによります。もちろん、組織運営においては意思決定スタイルだけでなく、人材の能力・モチベーション・経営戦略・評価制度の適社性など、様々な要因が絡むものですから、一概にこれだけで上手く行くとは言い切れませんが、あくまで「意思決定スタイル」の着眼点としては、これら3つに留意したうえで権限移譲を進めていくことが望ましいと考えます。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事