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マネジメントを強化する

経営理念を行動規範へ落とし込み、「解釈のギャップ」を解消する

Q.当社は「顧客第一主義」を掲げ、常にお客様の要望に対して高い技術力とサービス精神で応えることを社内で説いてきました。しかしそれが実際に出来ている者とそうでない者がおり、レベルのバラつきを心配しています。お客様の身になって考えれば、「何が正しいやり方か」は分かると思うのですが・・まだ「顧客第一主義」の理念浸透が不十分でしょうか。

A.理念を大切にし、これを社内に周知することに時間を費やす姿勢は大変素晴らしいものと思います。おそらく理念が浸透していないということもなく、社員の方々も「お客様を第一に考えて行動する」という大切さを理解していると思います。
 しかしここで区別しておきたいことは、「価値観を理解している」ことと「価値観から導き出される行動様式」は違うということです。
 例えば「お客様情報の社内共有」という例を考えてみますと、「その日中に顧客データを入力する(A)」という人もいれば「3日以内に入力する(B)」という人もいます。この2つの行動様式を比べてみると、顧客第一主義という観点からは(A)の方が正しい行動と思われます。しかしながら、一方の(B)の行動を取る人が必ずしも「顧客第一」という理念に沿った行動をしていないとは言い切れないのです。BにはBなりの顧客第一の考え方に基づいた「(Bにとって理念と整合した)正しい行動」を取っている可能性もあります。立場の違いや情報量の違い、あるいは社員個別の過去の体験により形成された価値観の違いによって、「顧客第一」の捉え方は人によって全く異なっているのです。
 例えば経営層としては、「あらゆる顧客情報を即座に取得し、有効かつ迅速な意思決定に役立てることが、当社のお客様全体に対してプラスになることだ。だから顧客情報はその日に共有することが大切だ。」と考えているとします。これは経営層にとっての顧客第一の行動様式です。
 一方で、ある社員は「顧客情報を入力するよりも、目の前のお客様に迅速にサービスを提供する方がプラスになる」と考えていることがあります。つまり、「自分が今日対応する顧客に沢山のサービスを提供する方が、情報をデータ入力するよりお客様の為になることをしている」という考えに基づく行動様式なのです。このように、互いに顧客第一という価値観に共感しておきながら、夫々の固有の価値観や立場の違いによって、発露する行動様式に違いがでることが多いのです。
 このギャップを解消するためには、「顧客第一」という理念を「行動規範」に落とし込むのが有効です。つまり「当社にとっての顧客第一とは、どういう行動を取ることなのか?」を規範として定めていくことです。上記の例であれば、「現場の顧客情報を素早く集め、素早い意思決定をし、新しいサービスや問題解決方法を即座に展開してお客様に提供することが、当社の顧客第一主義です。したがって、当社社員は顧客情報を即座に全社共有します」と定めることで、顧客第一の定義に対する解釈のギャップが減ります。

  • 当社にとっての顧客第一の姿(顧客第一の定義)は?=新たなサービスや問題解決方法を即座に展開すること
  • その実現のために取るべき行動は=社員が取得した顧客に関する情報を当日中に共有する

 このように、当社にとっての顧客第一の「定義」や「あるべき姿」を定め、その実現手段として「当日中の情報共有」という行動規範を作り、理念解釈の方向性と行動を一致させることが大切です。
 ただ、実際にこのような行動規範を作り浸透させるのは時間がかかるものです。理念という経営の根幹をなす部分の解釈を揃え、行動を規定するのは一筋縄ではいきません。また、あらゆる事象について細かく行動規範を設定することは、マイクロマネジメントと同じく主体性を喪失させたり、意欲を低下させる危険もあります。行動規範を明文化・浸透する際は、自社の根幹をなす理念・ビジョンを強く体現する行動に限定するべきでしょう。
 
 
 

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