1. HOME
  2. ブログ
  3. マネジメントを強化する
  4. 許容総額人件費管理の必要性

BLOG

ブログ

マネジメントを強化する

許容総額人件費管理の必要性

総額人件費管理の必要性

総額人件費管理の必要性

許容総額人件費管理とは

総額人件費とは 

 総額人件費とは、会社が社員を雇用するために支出している費用の総額を表します。その内訳は、基本給・諸手当・賞与等の現金給与と、退職金・法定福利費・法定外福利費・採用教育訓練費等のその他人件費から構成されます。

許容総額人件費管理とは

 許容総額人件費管理とは、総額人件費を会社の支払い能力に応じた水準内にコントロールすることです。会社が事業を健全に回していくための適正な総額人件費を、許容総額人件費といいます。

許容総額人件費管理の必要性

 費用の中でも最も高額となりやすい人件費。この人件費をコントロールする必要性が非常に高いというのは想像に難くありません。総額人件費の把握とコントロールには、具体的には次のような効果があります。

適正な収益構造の確立・維持

 会社の収益構造は、大きく売上・変動費率・粗利益率・固定費(うち人件費とその他固定費)により決まります。

※参考記事:損益分岐点の意味するものと、改善の方向性 

※参考記事:費用を変動費と固定費に分けるメリット

 費用のうち最も大きい人件費は、会社の収益構造に大きな変化を及ぼします。会社の収益構造、すなわち売上に対する「変動費」「固定費」のバランスによって、許容総額人件費が変わります。

 一般的に変動費が小さいサービス業・宿泊業では粗利率が大きいため許容総額人件費は大きくなります。逆に卸売業や小売業など変動費割合が大きい業種では、粗利率が低くなるため許容総額人件費は小さくなります。

 ときどき売上高ベースで総額人件費を捉えてらっしゃる会社もお見受けしますが、人件費は会社に残る粗利の中から支払われるため、粗利額(率)に対する割合で考えることが大切です。

 許容総額人件費を把握するということは収益構造を見直し、さらに儲けを生み出しやすい強い収益構造目標を策定することに繋がります。

要員計画の策定根拠

 許容総額人件費は適正人員数を決める根拠となります。売上・利益・キャッシュフロー目標に応じた全社・役職別・部門別の要員数や、賃金水準、雇用形態(正社員・非正規社員・業務委託)の構成などを策定根拠となります。

 要員計画、例えば社員の雇用を考える際に、次の2つの視点を持つことが重要になります。

 まず、社員1人を採用した時のコストは、想定イメージ以上にかかるということです。雇用すると年間給与以外にも福利厚生費や教育訓練費、その他にも通勤費・備品使用・接待交際費など様々な費用が発生します。

 また、社員1人分のコストに対する必要売上高がどれくらい必要なのか、つまり費用対効果がいくらなのかの見極めが必要です。1人雇用を増やしたとき総額人件費増加額に対し、それに見合う必要売上高はいくらなのかを把握することが重要です。

社員のモチベーション向上

 社員が最も気にする会社の費用は人件費です。人件費は勘定科目で言えば費用ですが、社員にとっては自分たちの生活水準であり、やりがいでもあります。会社にとっては利益やキャッシュフローが重要ですが、社員1人1人にとって重要なのは賃金であるケースが多いです。

 会社の利益が増加し、同時に賃金も増加している状態が会社・社員ともにWin-Winの状態と言えます。許容総額人件費は粗利に対する割合で決まりますが、この割合を労働分配率といいます。

 粗利が同じ場合、労働分配率を上げればその分会社の利益は減ります。逆に労働分配率を下げれば会社の利益は高まりますが、社員の給料は減ることになります。いずれにしてもどちらかが泣く結果となり、良好な関係維持にはなりません。

 会社・社員がお互いにWin-Winになる道は、同じ人員数で粗利額を増加させること、すなわち生産性を向上させるということになります。

 粗利益が増加すれば、同じ労働分配率を保ったまま人件費(賃金)も経常利益も増加させることができます。これを具体的な数値として社員に提示することで目標の納得性が増し、モチベーション向上につながります。

 会社と社員が一緒になって頑張るうえでも、許容総額人件費の把握は重要となります。

まとめ

 「利益」「社員」という経営者の悩みのタネになりがちな2つの要素を繋げる要員管理を行うには、許容総額人件費の把握が大前提となります。許容総額人件費の把握は収益構造の改善・要員計画の策定・社員のモチベーション向上など、企業運営にて大きなインパクトをもたらします。

※許容総額人件費の算出方法はこちらの記事をご参照ください。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事