売上高増減要因の深掘り

売上高増加率
売上高増加率とは、前年に比べていくら売上高が増加しているかを測る指標です。算式は次の通りです。
売上高増加率=(売上高―前期売上高)÷前期売上高 |
売上高増加率がマイナスとなっていれば、次のような原因が考えられます。
・マクロ要因:景気後退局面に直面している。 ・マクロ要因:市場が成熟期あるいは衰退期に入っている。 ・ミクロ要因:競合と比べて商品力が低下している。代替品が登場した。 |
しかし損益計算書上の売上高は、企業が1年間で生み出したトータルの売上高しか表現していません。そのため増加率がどれほどであったのか、だけを把握しても、具体的な対策を打ち出すことができません。
そこで売上高増減の原因をさらに分解し、どこに問題があるのかを特定していきます。
売上増減要因
売り上げの増減要因は大きく単価要因と数量要因に大別されます。売上高の推移を時系列で分析するには、単価と数量の増減がそれぞれ売上高にいくら影響を与えたかを確認していきます。詳しくは“売上増減の原因は、数量増減と単価増減のどちらか?”の記事でご確認ください。
売上高を「単価×数量」に分解し、そのどちらかに問題があることが分かれば、改善案を考えやすくなります。
しかし、単一市場・単一商品で勝負している企業であればここまでの分析で問題ないですが、多くの企業は複数事業、複数市場、複数商品群で勝負をしています。その場合事業全体の売上だけを分析しても、増減の真因に辿り着くことが出来ず、効果的な改善策を打ち出すことが困難になります。
そこで、次に売上高増減分析の深掘りについて解説致します。
売上高増減要因の深掘り
売上高を要素ごとに分類し、「売上高増加率」と「数量増減と単価増減」を分析してみましょう。次に代表的な分類基準を5つご紹介します。
商品別分析
商品別に売り上げの増減を把握します。商品アイテムが多い場合は、
・大分類
・中分類
・小分類
に分けます。そして大分類の分析で売り上げが減少しているものがあれば、さらに中分類で売り上げを分析する、というように徐々に細分化して分析していきます。
市場別分析
市場別分析は、BtoBであればチャネル別分析、BtoCであれば顧客別分析がメインとなります。
チャネル別分析
・取引先の規模(大手・中堅・小規模)
・流通経路(卸・小売店・消費者)
などの売り上げを分析します。
顧客別分析
顧客を何らかの基準でセグメントし、それぞれのセグメントで売り上げがどう推移しているかを分析します。
・性別別、年代別、年齢別といった人口動態基準
・居住エリアや来店時間といった地理的基準
・購買頻度や購買数といった行動基準による分類
などがあります。
地域別分析
国別、関東関西、都道府県別など、地域別の売り上げ動向を分析します。
店舗別分析
店舗別の売り上げを分析します。
まとめ
これらの分析事項を整理することで、売上高増減がどの部分で発生しているかを正確に把握することができます。
例えば商品別で売り上げが減少しているなら、商品力や認知度の向上が必要でしょう。さらに地域別である商品の売上増加率にバラツキがあるなら、その地域での認知度が不足している可能性が考えられます。
逆に売り上げが向上している地域ではプロモーション活動が有効に機能している可能性がありますので、上手く行っている地域でのプロモーション活動を地域で応用するといった方策をとることが可能となります。このように、売上増減要因を細分化することで、効果的な具体的改善策を施すことが出来るようになります。
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