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市場調査の実施方法

市場調査

 新事業の立上げや新しい企画を立案する際、是非やっておきたいことが市場調査です。市場調査をするメリット、市場調査の必要性の是非、市場調査の項目、市場調査のやり方について、考えてみたいと思います。

市場調査のメリット

 市場調査のメリットは以下の2点です

  1. 市場規模と成長性を推定できる
  2. ターゲットを絞り込み、成功確率を高めることができる

 市場調査をすることで、市場の規模や成長性の推定が出来ますが、それと同時に、自社の立ち位置や自社がどの程度のシェアを持っているのか(あるいは今後とれる余地があるのか)凡その推測ができます。これによりある程度先の見通した計画を立てることが出来ますので、社内、社外に対する説得力の向上が期待できます。

 また、一口に市場と言ってもその幅は広くも狭くも捉えることが出来ます。例えば「高齢者」といっても性別、要支援・要介護の有無、趣味、ライフスタイルなどが違えば別のターゲットとなることもあります。一般的にはこの絞り込みが出来ているほど成功確率が高まると言われます。しかしそれ以上に、深くターゲット顧客に思いを馳せて考えることが、ビジネスチャンスの見落としを防ぎ、またその顧客に満足して頂ける効果的な施策立案へと繋がっていくものと考えられます。

市場調査は必ず必要か

 ご支援先のとあるサービス業では、施設稼働率が業績に直結するビジネスモデルのため、絶えず新しい企画や事業を起こす必要がありました。エリア型のビジネスであり、既存事業でも収益が上がっているため、仮に集客に失敗したとしても大きな痛手を被ることはありません。しかしながら失敗が続けば稼働率がジリ貧となるため、中長期的な成長を見据え、市場調査を含めた新規事業創出のご支援をさせて頂いています。

 中小企業や小規模事業者さんにとって市場調査が必要かどうかは、その新事業のインパクトの大きさによると私は考えます。市場調査の目的はその市場に成長性があるか、成功確率はどのくらいかを見定めるものです。したがって、仮に新事業や新たな取り組みに失敗したとしても、その損失が小さなものであれば、あえて時間とコストをかけて市場調査をするメリットは少ないと考えます。

 しかし新事業の実行にあたり設備投資、組織体制の大幅変更、将来的に収益の柱としたい、などの事情がある場合は、市場調査の必要性は高まります。

 また前述のサービス業では以下のような事情がありました。

 もともと新たな事業や企画の立上げや設備投資は社長主導のもと、沢山なさってきた会社でした。しかしここにきて環境変化が激しくなってきたこと、また、長年社長主導でやってきましたがいよいよ次世代のことも考えざるを得なくなってきた、という現実に直面していました。その結果、今後はより現場に近い位置で、社員の主体性に端を発する事業創出が必要となってきました。

 今後初めて自ら事業企画を行う社員さんにとって、事業企画はそれなりに困難が付きまとうものです。事業創出は創業社長にとっては普通のことでも、初めて経験される方々がゼロから1を生み出すというのは、経験やノウハウを必要とします。

 こんなとき、市場調査による外部環境情報はとても役に立ちます。あらゆる情報が混在している中で事業を考えるより、整理された市場調査情報をもとに思考を巡らせた方が、アイデアは出てきやすくなるからです。

 市場調査、そしてその情報を基にしたアイデア創出会議のファシリテーターを務めさせて頂く中で、アイデアが形になっていく様を拝見できるのはコンサルタント冥利に尽きることだと感じています。

市場調査項目

 市場調査はどのようなことを調べたらよいでしょうか。

 1.顧客調査

 まずは何といっても顧客を調査することが大切です。エリアビジネスであれば、商圏内には、どこに・どれくらい・どのようなお客様がいて、どのようなニーズや不満や願望を持ってらっしゃるのかを5W2Hで考えていきます。一般的には、年齢や家族構成など「人口動態」、商圏範囲の「地理的基準」、性格や考え方などの「心理的基準」、行動パターンや消費行動などの「行動基準」に分けて整理できると良いと言われています。

 そして新たな可能性のある顧客市場を見つけ、自社のソリューションが顧客にフィットするかどうかを考えていきます。

 支援先の例では、とくに「人口動態」と「心理的基準」に重きを置いた調査を行っています。たとえ提供しているサービスが同じでも、既存と違う年齢や心理的欲求を持っている顧客を対象とするだけで新たな顧客を開拓できることも度々あります。

  2.競合調査

 自社の競合会社が市場の中でどのような動きをして、どのような立ち位置にあるかを推定します。どんな顧客をターゲットにしているのか、製品やサービスは自社とどう違うのか、強みは何か、弱みはどこか、顧客からどのようなイメージを持たれているか、などです。

 そして競合の性格や立ち位置が整理出来たら、自社はその競合と同じ顧客を対象として戦うのか、それとも同じ顧客をターゲットにしつつ戦い方を変えるのか、または違うターゲットを狙うのか、などを判断していきます。あるいは競合と協業する、という選択肢もあり得ます。

 3.供給業者

 もし、既存事業とかなりターゲットや製品の異なる市場への参入を考えるのなら、後方の備えはバッチリしておきたいものです。今までの取引先では新規事業に対応出来なさそうであれば、予め供給業者市場を調査しておく必要があります。

 4.代替品、法規制、経済的要因など

 他にも必要に応じてマクロ的な視点から市場を見ることも大切です。

市場調査のやり方

 市場調査のやり方は無数にありますが、代表的なもので、私も活用しているものをご紹介します。

 1.インターネット検索

 何といってもこれが最もスタンダードではないかと思います。今の時代はインターネット上で本当に沢山の貴重なデータが拾えます。勿論出所の裏を取る必要はありますが、かなりニッチで特殊な業界であっても情報が出ています。検索方法はまず知りたいことそのものを検索し、何も引っかからなければ少しづつ知りたいことを抽象化、拡大したワードに置き換えて検索します。

 また一つのテクニックとして、検索の最後にスペースを空けて「PDF」と入力して検索すると、学術的な調査結果を入手できることがあります。内容は難解なものも多いですが、大学や専門機関による調査結果ですので信頼性は高いと思います。

 また、アマゾンや楽天の売れ筋ランキングやヤフー知恵袋、口コミサイト、SNSのハッシュタグ検索なども、顧客の動向を知るには有効です。

 なお、競合会社の調査も基本的にはインターネット調査がメインとなります。

 2.政府の統計データ

 データ改ざんなどで騒がれた政府統計データですが、膿が出てしまえば今後は信頼性の高まるデータになると私は信じて、活用させてもらっています。

e-Stat

 人口や世帯に関することは国勢調査、労働に関することは労働調査、企業に関する経済センサス、家計に関する家計調査、生活に関する社会生活基本調査など、多くのデータを得られます。年代や地域を絞ることもできるため、ニッチ市場のデータも取得できます。ただし、目的とするデータを探すのが大変なのと、見つかったデータを情報として加工する必要もあるため、手間はかかります。

 3.業種別審査辞典

 金融機関が新規融資先の融資を検討する際に用いる業種特性満載の辞典です。コンサルタントが初めて経験する業種をご支援する際にも重宝しています。業界内に長くいらっしゃる方々にとっては分かり切った情報も多いと思いますが、それでも数値で見る業界全体の動向には改めて気付きを得られる方も多いようです。

 4.競合店調査

 店舗ビジネスの場合であれば、競合店に直接行き、顧客として買い物をしながら調査をするのも有効です。その場合は何を調査したいのか、例えば品揃え、価格、プロモーション方法、レイアウト、棚割り、接客レベルなどを書いたシートを用意しておき、記入しながら店を回ると良いでしょう。可能なら写真も撮っておくことをお勧めします。ただしやり過ぎには気を付けましょう。以前私がチームで競合店調査をした際、店員さんに注意されたメンバーもおりましたので、やり過ぎには気を付け、ほどほどにしておきましょう。

 5.顧客へのインタビューやアンケート調査

 顧客に直接インタビューしたり、アンケートでの意識調査を行います。アンケートは新規ターゲットに対して実施するにはなかなか難しいですが、その気になれば街頭でのアンケート調査を行ったり、インターネット調査会社に依頼する方法もあります(費用はかかります)。特に新規出店する場合、その土地の最寄り駅の利用者に街頭アンケート調査をしておくのはとても有効です。

まとめ

 今回は市場調査のメリット、必要性の有無、調査項目、調査方法についてまとめました。いずれもそんなに難しくなく、少ない人数で予算を掛けず可能な方法をご紹介しました。市場調査は新たな事業創出や、新しい顧客を開拓する際には大きな武器になると思います。ぜひ試して頂けたらと思います。

 より詳しくご相談なさりたい、という方はこちらからお問い合わせくださいませ。

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